テキストサイズ

I‘m yours forever

第4章 美月は何も知らなかった 前編





「でも日比谷教頭の悪夢が続くようなら、二人で神社にお祓いに行けばいい。スッキリするよ。アタシもね、丁度厄年の時に厄祓いしに行った事があったのよ。神社の本堂でさ、神主さんが白いふさふさがついた棒?お祓い棒?あるじゃん。アレをさ、振りながらさ、アタシの名前フルネームで読み上げるんだけどさ、マジでそれが面白くて!笑っちゃいけないって思えば思う程、笑いがどんどん込み上げてくるの!終いにはハンカチで口元押さえてて🤣神主さんが気付いて咳払いしてるんだけど、それすらも面白くなっちゃって🤣今思い出しただけでもマジでウケる🤣何とかの〜何とかの何とかで〜三原 恵美どうのこうの〜」


そう言いながら、三原先生は神主の口調を真似ながら、チーズフォンデュ用ピックをお祓い棒のように振っていく。


三原先生...貴方、最初からこれをやりたかっただけなんじゃ....。


呆れた眼差しを彼女に向けていると、「まあそういう事があって、スッキリ出来たっていうアタシの実体験があるから、おすすめしてるわけ。行ってみ?」と言いながら、チーズフォンデュ用ピックをブンブン振り回し始める。


いやそのスッキリって爆笑したからでは?
お祓い関係なくない?
後、神聖な儀式の場でゲラゲラ笑うって普通出来ませんよ、美月先生。


そう内心思っていると、今度は彼女が歌を歌い始めた。◯だめカンタービレのオープニング曲だ。交響曲第7番...だったような気がする。


「♪ダラッダーーー!ダダッダー!!ダダッダーダダ、ダダダ、ダダン♪ダラッダーーー!ダダッダー!!ダダ、ダダダッダダダ、ダン♪ダダ、ダーダダ、ダダダ、ダダダダン♪...」


「................。」



神主の次は指揮者...?
何故...?
いやつっこむだけ無駄なのか...。


なんか...
もう全てが馬鹿馬鹿しくなってきた...。


そのオープニング曲もどきを気持ち良く歌う三原先生を「駄目だ完全に出来上がってる」と諦めながら、今夜彼女をひきづって帰らなければならない未来に私は一人溜息をつくのだった。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ