I‘m yours forever
第4章 美月は何も知らなかった 前編
「成る程...。お前は今後出産を考えているのか?」
「いや...それは...まだ検討中で...。」
「そうか。だが丁度、妊娠の適齢期だろう。子供を産むのなら今が最適だろうな。」
「まあ....そうですね....子供が出来たら産休を取って復帰しようとは思っているんですけど、仕事と子育ての両立が出来るかとか、また元通りに教師を続けていけるだろうかとか、そういった問題があって中々...。」
「仮に復帰が出来ない場合は、専業主婦でいいだろう。富豪では無いが、貧困とは無縁の生活をこれからも送れるわけだ。無理してお前が働く事は無い。」
「え..... 怠惰ですよ、そんなの....。」
「怠惰なものか。私も子育てはお前に一任せず積極的に手伝うつもりだが、決められた時間の中、何処まで出来るか不明だ。最悪、育児まで手が回らない時もあるだろう。その場合はお前が負担を強いる事になる。だが専業主婦なら時間に余裕が生まれる。少なくともお前が身体を壊す確率は低くなるだろう。違うか?」
「そ、そんな...心配しすぎですって...。」
「ああ、もし社会性を失う恐怖が有るなら何かアルバイトでもすればいい。いずれにして産後必ず復職しなければならないというプレッシャーは皆無だと言う事だ。その悩ましい部分を取っ払って考えた場合はどうなんだ?」
「うーん....................それでもやっぱり今の仕事にやり甲斐を感じ始めていますし、黎一さんも居ますし.....特に....要らないのかもしれません....。」
「そうか....では要らないという方向性で決まりだな。結論が出て良かった。」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「....今度は何だ?話は終わっただろう?」
やれやれといった表情だった。
私が何かおかしい事を言っているのだろうか?
いや...そんな筈は無い。