I‘m yours forever
第4章 美月は何も知らなかった 前編
「すみません...あの...今回こういった話を出したのは理由があって...その...婚約前に黎一さんは、”俺は喉から手が出る程、お前との子供が欲しかった“と言ってましたよね?私は、あの言葉が凄く印象に残っています。ですので、どちらでもいいという今の黎一さんの言葉にイマイチ納得がいかなくて、本当は欲しいんじゃないかと思ったんですけど、どうでしょう....?」
「......................。」
「あの....黎一さん?」
「.....まあ...そうだな、あの時は確かに子供が欲しいと思った。だが特に今は必要無いと考えている。」
「それって.....要らないって事ですよね?じゃあ何で最初どっちでもいいなんて言ったんです?」
「.........お前に配慮したまでだ。もうこの話はいいだろう。終いだ。」
先程まで饒舌に喋っていた黎一さんが急に返答に窮するようになった挙句、話を切り上げようとする姿を私は訝しんだ。
これは絶対に何か隠している。
「では結婚してから子どもが欲しいと思わなくなった理由を説明して下さい。私に理由があるなら直します。お願いします。」
私がそうお願いすると、焦ったのか彼は目を泳がせた。珍しい。これはポーカーフェイスでは決して無い。
多分、彼の本心が聞ける筈だ。
そう確信した。