I‘m yours forever
第5章 美月は何も知らなかった 後編
それから丁度1週間が経過した金曜の夜の事だった。
退勤後、スーパーで食材を買い、キッチンに立って二人分の夕飯を作り終え、ホッと一息ついた頃、
黎一さんからメールの連絡があった。
「急遽、出張中の旧友と飲みに行く事になった。料理は明日頂くとする。連絡が遅れてすまなかった。」
こういう急なメールはあまり見ない上、珍しく思いながら、冷蔵庫を開けて、軽くラップをかけた黎一さん用の料理を確認する。
そこから味噌汁だけを取り出して、三角コーナーに捨てると、メールボックスを開いて文字を入力していく。
「了解です。冷蔵庫に肉じゃがときんぴらごぼう、きゅうりの浅漬け、3品ラップをして冷蔵庫に入れてあるので、明日召し上がって下さい。ご飯は冷凍ご飯を解凍して下さい。味噌汁必要でしたら、コンビニで買ってきて下さい。飲み会、楽しんできて下さいね。」
メール分をサラッと確認して、送信ボタンを押すと、黙々と食事を取っていく。
その後、食器、鍋などの洗い物を手早く済ませると、広々としたバスルームへと向かった。
「ハァ....」
1.5坪のユニットバスは悠々と足が伸ばせる。大人二人が入っても余裕なサイズだ。
休日、稀に一緒に入浴するかと誘われる事がある。湯に浸かってそのまま...という事は無い。大体、黎一さんから触ってきてそのままエッチになだれ込むのだ。
彼の蕩けるような、どこまでも甘い美声を思い出して自然と足が開く。
「ンッ...んっ.....アッ....」
両手で愛撫を施していく。
耳元で囁き、執拗に乳首と秘部を刺激して何度も絶頂へと導く彼の手を真似たつもりだった。
「アッ...あ!...んっ...違っ...あともう...少し...」
なのに登り詰める事が出来ない。
オナニーは得意だった筈なのに。
疲労を感じ始めてきた手を下ろして湯船に戻す。暫く天井を見つめていた私だったが、億劫になる前に洗い場で身体と髪を洗ってバスルームを後にすると、そのまま寝室に向かう。
ドライアーで髪を乾かしながら、心地良い眠気が襲ってくる。バスタオルも合わせて短時間で乾かし終えると、ドライアーのスイッチを切った。そして私の記憶はそこで途絶えてしまったのである。