テキストサイズ

義娘のつぼみ〜背徳の誘い〜

第6章 エピローグ~父娘の行き着いた場所~

 茉由の妊娠が発覚したのは、今年の三月半ばのことだった。生理のないことを不審に思った彼女は、武司にそれを打ち明けた。産婦人科で検査したところ、妊娠二か月とのことだった。高校はすでに卒業式を済ませた後だったが、茉由はそれまでの二か月間、妊娠した状態で通学していたことになる。武司は当時、現役女子高生を妊娠させてしまったことに、少なからず後ろめたさを感じたものだった。

 六年前、茉由が中学一年だったあの日の夜、彼女の同意の上とはいえ、武司が娘の処女を奪うことになったあの日以来、父娘は時おり身体を交えていた。初めての時、武司は娘の胎内に精を放出してしまったが、その時は幸い妊娠することはなかった。

 茉由がまだ学生である以上、無闇に彼女を孕ませるわけにはいかない。そのため、二人がセックスする時、避妊は欠かせなかった。だが今年の一月、「安全日だから」という茉由の言葉を信じ、武司は彼女の膣奥で射精した。妊娠がその時のものであることは明らかだった。すぐに茉由はそれが意図的な確信犯だったことを告げる。当然、武司は娘を叱咤したが、「早くパパの赤ちゃんが欲しかった」という、茉由の涙ながらの訴えに彼は承服するしかなかった。彼女が自分の子供を宿したことに、喜びを感じたことも確かだったからだ。

 茉由は安定期に入った先月から、しばらく足が遠のいていた母・理恵の墓参りに、再び通うようになった。理恵は彼女の実家の近く、設楽家の墓で眠っている。今回は理恵の両親への挨拶も兼ねていた。

「お腹の赤ちゃん、ママにとっては孫になるんだよね?」

「うん、そうなるね」

 茉由に訊かれ、武司は答えた。

「ママに会わせたかったなあ」

 二人の記憶にある理恵は、三十二歳の若い彼女だ。生きていたとしても、今年でまだ三十八歳。もし四十前で孫を持つことになったとしたら、彼女はなんと言っただろうか。

 いや、そもそも彼女が生きていたのなら、こんなに早く茉由に子供が出来ることはなかったかも知れない。

「きっと、お母さんはその子のことも見守ってくれてるよ。茉由と同じくらいにね」

 そう言いながらも、武司はやや複雑な心境だった。


 妻の墓参りと、実家への挨拶を終えた後、武司は家へ向けて車を走らせていた。夕方の六時を過ぎても、夏の陽はまだ高い。明るいうちに家に着きそうだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ