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狂愛の巣窟〜crossing of love〜

第8章 【戻れないのなら一緒に乗り越えてください…】






「………1年ほど、くらいになります」




目の色が変わった。
地雷を踏んだらしい。
思ってたより長かった?
その間、何回抱かれましたか?
悦んでた自分が滑稽ですか?
不倫相手がまさか隣人だったなんて……て顔してる。
嘘は言ってない。
どうせ、バレるのですから。




怒りが頂点に達して鼻で笑われたような気がした。
どんな罵声を浴びるのかしら。
ビンタの1つや2つ覚悟するしかない。
髪を引っ張られて引きずり回されるかも。
警察?弁護士?
あぁ、慰謝料か。
言われた金額出すしかないわよね。
相場として150〜200万ってとこかしら。




「お互い結婚してるのに……家族があるのに……」




「すみません、全部私の責任です、私から……でしたので」




「そんなのどうだって良いんです、事実としてこれは残しておきますので」




「はい……」




互いに無言、地獄絵図だ。
中岸さんはこのこと把握してるのかしら。
きっと何も言わずに怒り任せに来たと見て良い。
そっとスリッパを差し出した。




「あの、此処では何なので……あがられますか?」




「いや………あの………」




あがるわけないわよね。
何かまだ言いたそう。
此処で喚き散らされたら外にも聞こえちゃうし困るんだけどな。
どうせ全部録音でもしてるんでしょ?
まさか招き入れられるとは思わなかったから動揺してる?
その程度の覚悟や勇気ですか?




「許してもらえないのはわかっています、これからのこと、話し合いませんか?」




なるべく落ち着いて話したつもりだけど、私の一言一句に腹を立たせているのは想定内です。
だからこそ、話し合いが必要だと思うのですが。




「それとも、弁護士を挟みますか?」




これも地雷だったのか「そうじゃない!」と一蹴されてしまった。
まさか示談?
私としては願ったり叶ったりですけど、そちらのメリットは?
携帯を下げても尚、私から目を逸らさない奥さま。




「主人と……………良かったですか?」




「え…?」




「不貞行為は、気持ち良かったですか?」




何を言わせたいのだろう。
彼に同意はなかった、とでも言うつもりなのだろうか。
私1人を悪者にして取れるだけ取ろうとするやり方なのか。








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