テキストサイズ

狂愛の巣窟〜crossing of love〜

第8章 【戻れないのなら一緒に乗り越えてください…】






「……はい」




此処にあなたが居る時点でドン引きしてるのでこれ以上引くことはないです。




「あの動画………最後まで観た」




「はい」




なんて言えば良いのかわからない。
これでも一応恥じらいはある。
一番見られてはいけない人に見られたわけだから。




「さっきは怒ってるみたいな口調で言っちゃったんだけど、本当は違うの」




膝の上に重ねてる手が少し震えてる。
目を見て頷いたつもりはないけど、聞く態勢で相槌を打ったことが引き金だったのかも知れません。
そこからは早口で聞き取るのに精一杯なくらい、彼女は堰を切ったように話し始めた。





「不倫はいけないよ?あなたが誘ったんだとしても、受け入れた主人も悪い、しかもハメ撮りなんて、主人から言ったんでしょ?あなたからは言わないと思う、でも、でもね、コレだけは主人に感謝してる……だって、だって……あなた、凄く綺麗だから……不倫相手なのに、憎き相手なのに見惚れてしまったの……私、バカだよね?こんな綺麗な人から誘われたんなら絶対堕ちるってわかる……」




あぁ…………こっち系?
こっち系の展開ね、ハイハイ。
わ、びっくりした。
マジでスワッピング希望かと思ったぁ〜
心臓に悪い。




「これは、主人にも誰にもまだ言ってない事なんだけど、私………本当は………女の人が好きなんだよね」




「え…?」




あ、思わず声が出てしまった。
ヤバい。
せっかくのカミングアウトを。




「ずっと隠してた、周りは結婚していくし、焦りもあって、誰にも言えないままここまで来たから本当は苦しかった……あまり好きでもない寝取られとか主人の性癖に尽くす自分も……それなりに気持ちは良いけど心の底からは…」




アレで、イってなかったって事?
潮まで吹いておいて!?
全部演技?
そっちの方が凄いんですけど。




「辛かったですね、やっと吐き出せましたね」




肩を優しく擦り震える手に重ねた。




「でも、最初に言ったように離婚は考えてない……主人を嫌いにはなれないから、主人以外は考えられなくて……女が好きとか言っておきながら何言ってるのって感じだろうけど」




「わかりますよ、私も今の主人と別れるつもりはありませんから」










ストーリーメニュー

TOPTOPへ