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孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第47章 エピローグ


こんなにも早く、そして突然にあなたを失うことになるとは。

今もあなたは私の記憶の中で、花が咲いたように笑っている。

無邪気で優しく、思いやりにあふれたあなたのことが、大好き。



あなたには、心から愛する人がいた。

『私は、私がおじさまを愛しく思い続けるこの思いが、私の死とともに途絶えてしまうものではないような気がする。だとすればそれを途絶えぬように手伝ってくれるのは、あなただと思う。だから聞いて欲しい、私がどんなふうにおじさまを愛してきたかを』

そう言ってあなたは、私に、門倉社長との出会いから別れまでを話した。そして、肉体が力尽きるまで、彼への愛を表現し続けて散っていった。

私はこのあなたの想いを、次は誰に語ることになろう。

耀ちゃん、彩ちゃん…あなたの永遠の愛を受け止めた人たちは、この世に何人も残された。

そんな彼らにいつか、この途方もない恋の話を、私はするかもしれない。そのとき彼らは、私がどれだけ、黎佳、あなたを好きだったかも知ることになろう。

私の恋慕う気持ちにも、永遠の命が与えられるのだ。


いにしえの時代に、あなたと彼のように愛し合った二人がいたのを知っている?あなたに早くこの話をしておけばよかった。

その后は、治天の君である養父を愛し、その子をはらみ、彼が亡きあと、自ら再建した法金剛院―そう、あなたが二度訪れたあの寺院で幕を閉じた。

千年もの昔に生きたその后の存在を知った時、あなたはその生まれ変わりなのではないかと感じたの。

きっとあなたは、生まれ変わったらまた愛し合おうと、彼と誓ったのではないかしら。

だとしたら今頃あなたは、また、彼と再会しているかもね。


こんな想像は、のこされた私自身を慰めるための妄想にすぎないかもしれない。

けれども、愛は妄想がなければ存在しないもの。

愛を信じるということは、幻をこの目で見届けようと目を凝らして生きることによく似ている。

愛を体で表現することで、それが幻ではないと証明し続けたあなたの生涯は、危うさと逞しさに満ちていた。

魂が体から離れた今、再び愛する人と魂で結ばれていますように。あなたとその愛する人の心が、千年先まで、永遠に、結ばれ続けますように。

私はこの世界で今も、あなたを愛し続けます。


法金剛院にて 黎佳へ
愛をこめて

美晴

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