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雪女

第2章  不思議なあられ

 やはり、作ったばかりのように生地は新しく、身体にピッタリ合っている。


 スカートの丈は、殆どの女子がウエストで巻き上げている長さに最初から仕立てているので、彼女に限ってウエストがダブついて野暮ったいという事もなかった。

 まるで、異次元の能力を使ったようだ。


「あられちゃんが着ると、うちの制服も可愛いいじゃん」

 杉下が言うが、だから、そこじゃねぇんだって。


 あられを中心にしたグループができた。
 
先生の「鈴木さんのご両親は法曹界の偉い人だから問題を起こすな」という一言もあって、それはある意味ファンクラブのような安定性を生じるので良いことだと思う。

 だが僕はその中に入ってない。


 初日に彼女の案内を途中で投げたからだと、杉下が言ったが、それはない。

 何故ならあられが親衛隊?を呼ぶ前に「うちに来ませんか?」と、僕を誘ったことがあるからだ。

「本当に残念だけど、詰まっているんだよ。生徒会で引き継ぎをやったあとの見守りがあるんだ」

 そう言って断ったら、手を取らんばかりに近づいて、「では、時間ができたら必ず来て下さいね。お知らせしたいことやお願いしたいこともあるので」

 そう言って微笑んで横を向いた瞬間、あられとは違う別の表情が浮かんで見えた。


 えっ。いや。今のは何だ。怒った? 目の錯覚?髪の毛が逆立ったぞ。

 あられを見直すといつものとおり切れ長の目に神秘的な瞳を浮かべて、笑顔で僕を見つめていた。

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