碧い雨の夜に…
第4章 【感情的に……】
「それって、リセちゃんが大好きな仕事だよね?」
「ん?うん、オファーが来たら受けるようにはしてる、勉強にもなるし自分の世界が広がる」
「だったら絶対に行ってきて、心から応援してる、応援しか出来ないけど」
その後に続く言葉が何なのか痛いほどわかるから抱き寄せる。
「待てる?2週間だよ?」
「僕が帰りを待ってるって思ったらリセちゃんフルパワー出るでしょ?」
「うん、終わったらダッシュで帰って来る」
「アハハ、ゆっくり慌てずに帰って来てください」
出発は来週。
明けてすぐとなる。
荷物をスーツケースに詰めている最中にハッと思い出した。
コレも言っておかなければ。
「えっ………そうなんだ」
だよね、そんな反応なのはわかりきっていた。
心配かけちゃうよね、潔白だとしても。
ちゃんと言って不安材料残して行くのはズルいかも知れない。
けど、後で知って喧嘩になるのも嫌だから私は言った。
バックダンサーとしてチーム参加するわけで、そのメンバーの中にアキラも居るってこと。
アキラ以外にも男性メンバーは3人居て、男女4人ずつの招集となった。
誰のバックダンサーかは本当は周りには秘密厳守。
私自身もびっくりした人物だ。
ナオは絶対に口外しないと信用出来るからそっと伝えた。
「えっ!?この前より凄いじゃん」
ある男性アイドルグループの中の1人がソロテビューする。
その振り付けを完璧マスターしてプロモ撮りするらしい。
遂に誰かのMVに出演することになった。
ダンサーの中でもこれはかなりの争奪戦らしいけど、ウチにオファー来たんだ。
選ばれるのはもう運しかないよって言ってた。
どうしよう、一生分の運、使い果たしたんじゃないだろうか。
そう言うとナオは笑い飛ばしてくれた。
「そう思って死にものぐるいで全力出して来なよ、そしたらまた運の方から寄って来てくれるよ」って何気に響いたんですけど。
あぁ、ナオもスーツケースに入れて持って行きたい。
何なら小さくなってもらってポケットに入れたい。