碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
それから2週間、何も音沙汰無しで過ぎていった。
相変わらず忙しい日々を送れていて、あまり考える暇もなかったけど、ふとした瞬間に(今頃何してるだろう)くらいは過ぎっていた。
「理世さーん、考え事ですか?」
休憩タイムにボーッとしていたら後輩らが声を掛けてきてくれた。
ハッとして「寝てたわ」と言うと笑われた。
「どうせ俺のこと考えてたんだろ?」ってアキラも入ってきてややこしくなる。
ハイハイ…と言い返して来ない私に視線が集まっていた。
「子猫ちゃん……拾ったんだよね、ちょっと前に」
「えっ!?子猫ちゃんですか!?写真ないですか?」
「ん〜ない、もう元の世界に戻ってっちゃったから」
「あ、拾ったけど逃げ出したってやつですか?」
「ん〜そうだね」
「え、それでちょっとロスってる感じですか?まぁ、でも子猫ちゃんなら心配ですよね、ちゃんと餌食べれてるのかとか…」
「………いや〜美人だった」
「メス?猫飼いたくなっちゃってるじゃないですか〜理世さんのマンション飼えましたっけ?」
「それがね、飼えんのよ、飼おうかな?」
なんて、冗談交じりに言ってると
「もう俺飼ってるのに!?」と絶対入ってくるアキラに皆もガン無視で。
「でも動物飼ったら婚期逃しちゃいますよ」って会話が続く。
「理世の婚期は俺が居るから大丈夫」
「あの猫ちゃん、また居ないかなぁ」
「そんな可愛かったんですか?うちの猫ちゃん見ます?アメリカンショートヘアなんですけど〜もうヤバいくらい可愛くて」
「お、見る見る……あ〜可愛い」
チラッとアキラを見るといつもの不貞腐れ顔。
それに気付いた私は拗ねるアキラを暫く放置するが「打ち合わせしよ」と連れて行き皆から離れる。
打ち合わせなんてないけど。
「?」な顔に「拗ねてたから」と言ったら「そういうとこだからな〜好きにさせるの」って床に寝そべるアキラ。
後々面倒臭いから拗ねてるなら先に解消しておこうかって思っただけなんだけど。
「じゃ、これからはやめるわ、こういうの」
「えっ!ダメダメ、理世は俺に優しくなきゃ俺生きていけない…」
真顔でそう言うもんだから爆笑してしまった。