碧い雨の夜に…
第5章 【不変的に……】
「勉強なったろ?俺が居る時は毒味係してやるよ」
「いらない、ちゃんと自分でするから」
「食べ物系は断れよ、これから」
頭をポンポンした後にグイと引き寄せるから思わず固まる。
「わかった?」って目を合わせてきた。
「俺が一緒に断ってやるから」と時々優しい目をする。
「ったく、しょうがねぇな、モテモテのお嬢さんは、俺が居なきゃ世間知らず過ぎて焦るわ」
「最後は余計な一言だよね」
脇腹に軽くパンチする。
おちゃらけて痛がるけどその笑顔に救われてきたのも事実だ。
「ということでやっぱり付き合っとく?俺ら」って懲りない奴。
「今、俺のこと優しくて、頼り甲斐のある男だなって思ったでしょ?」
「思わない」
「いや、グラついたって今!」
「グラつくか!」
「だって俺が居なきゃダメって言ったじゃんかよ」
「今言うな!」
ギャーギャー言い合ってると「また始まってる」と仲間たちが茶々を入れてくる。
いつもそんな始まり。
付き合ってないのが不思議だわ、とまた言われたりするんだ。
気は許してるよ、多分。
唯一無二の存在なのも認める。
その先はないと言い切れるのは信じてもらえないみたい。
本当、ないよ。
何回言ってる?コレ。
距離感が近いのもわかってる。
皆で振り付け見るときも後ろから肩に顎乗せてきたりとか、さり気なく阿吽の呼吸で飲み物やタオル渡したり渡されたり。
長い幼馴染やってると当たり前になってくるんだけど、私も私で満更でもない顔してるよ?と言われて。
「ねぇ、本当それ無理ぃ~」と項垂れる。
違うんだよ、前にそれを気にして私が距離を取ったことがあった。
必要最低限の会話だけにして女のコとばかり居るようにした。
でもアイツそれにショック受けて寝込んでどんどんどんどん体重減って一時期本当危なかった。
ガリガリで今の陽気さなんて限りなくゼロだったよ。
ダンサーになる前の話なんだけど。
学校にも来なくなってきたからそろそろ様子を見に行った方が良さそうだなって家に行った。
アキラの両親は共働きで家には本人しか居なくて。
私の顔見るなり号泣するんだもん。
「嫌いなら来るな」って言われたけどズカズカ入ってお粥作って食べさせ寝かせた。