碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
それが楽しそうに見えてやっぱり2人はデキてるのかと日々、噂は絶えません。
それを上手く手玉に取ろうとするアキラと、全くなびかない私が交わる日なんて果たして来るのだろうか。
帰り道ではいつも、あの植え込みに目線がいく。
気付かないうちに無意識で探してる。
(今日も居ないか…)と思ってエレベーターを下りてからも少しだけ期待しちゃう。
ドアの前に座って待ってるんじゃないかって。
家を覚えてくれてたらもうじき来てくれるんじゃないかって。
そんなことは実際にはなくて、
(そっか、今日もか)と肩を落とす。
これ………何日続くんだろう。
ネットで調べてみた。
“Nao モデル”
何人かヒットした写真の中でコレかな?と思い当たる人物は居た。
次々と調べちゃって、やっぱりモデルだったんだ。
最近の写真はなく、SNSも途絶えていた。
昔の写真を何枚か見たけど、どれもまだ幼く垢抜けていない。
私が見たナオはもっともっと成長していた。
今、SNSにアップすれば間違いなくバズると思うのに。
部屋では常に音楽が流れてる。
いつでもどこでも振り付けが舞い降りるように。
つい深夜まで新しい振り付けを考えてしまいバタンキューとなる毎日。
担当しているダンスクラスではランダムに選んだ生徒とタッグを組み何本か動画撮りをする。
スクールアカウントのSNSにアップするとたくさんイイネとコメントが貰える。
宣伝にもなるし生徒のスキルも上がってくし一石二鳥だね。
アキラも担当しているクラスが終わって丁度帰りが一緒になった。
ヘルメットを渡される。
「メシ、行かね?」
丁重にヘルメットを返し「行かない」と断る。
前に言ってたナミちゃんも見てる前で言うか?普通。
ナミちゃんと行って来なよって言ったらまた怒りそうだから言わないけど空気読みなさい。
「じゃ、送る」
そう来るとも予想していた私はとどめを刺す為に大胆な嘘をついた。
「待ってる子が居るから先に帰るね、男と一緒に居たりするの嫌がる子だから」
「はっ!?」
残ってた生徒もダンサーたちも私の一言に奇声をあげてる。