碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
ちょっと強引過ぎた…?
引いてる…?
驚くのも無理ないよね。
私だって驚いてる。
必死に引き止めようとしてて。
あんな寂しい時間をまた過ごすのかと思っただけで震えそうなの。
「誰かと一緒に住んだことはあるの?」
「ない」
「何で………ボク?」
「理由なんてわからない、でも連絡取らなきゃ会えないとか、今何処に居るのかわからないとか、もうちょっとしんどいなって」
他に何が理由なら納得してくれるんだろう。
好きと告白するにはまだ未完成過ぎる。
どうしよう、これが恋愛感情なのかどうかわからなくなってきた。
でも離れたくないんだ。
出来れば毎日でも見たい、拝みたい。
今の姿もメイク落とした素のナオも。
全部綺麗だから。
「今………住んでるところ丁度、更新月で家賃払うのにいっぱいいっぱい」
「うん」
「こんな風に言ってくれて本当は凄く嬉しいし甘えたい気持ちもある」
「うん」
「でも、気持ちだけ受け取っとくね?ボクはやっぱり男だから、リセちゃんのご両親だってきっと良い顔しないよ」
「片親だけだけど、話せば聞く耳持ってくれるしちゃんと理解してくれるよ」
「いや、でも………」
「じゃ、何で会いに来たの?辛かったんでしょ?気付いたら此処来ちゃってたんでしょ?もうそれが答えじゃん、待ってたって何も起こらないんだ、自分からアクション起こしたんなら最後まで自分の面倒見なきゃ………ナオはどうしたい?」
お願いだから首を縦に振ってよ。
私の独りよがりじゃないって証明してみせて。
隣に座り直して爪の先まで綺麗な手を握った。
「ボクは………リセちゃんが傍に居てくれたら何でも乗り越えて行けそうな気がする……だから一緒に居たい、此処に、帰って来たいです」
その声を聞いて思わず抱き着いた。
ほら、やっぱり!
ナオならそう言ってくれると信じてた。
「あ、でも…!」と話に続きがあったようだ。
「こんな見た目なのは、ボクが女の子になりたいから……とかじゃなくて仕事する為に行き着いた仮の姿というか……」
「うん、一緒に居れるなら何でも良い」
「リセちゃん、ちゃんと聞いて?大事なことだから」
年下のくせに慎重派なのね。
そこも可愛い。