碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
「え、理世さん最近めっちゃゴキゲンじゃないですか!?」と後輩らが私に詰め寄って来る。
相当顔に出てたらしい。
「おい、デートしたことバレるだろ〜」ってアキラが言うからもうそういうことになってしまう。
「んふふ、猫ちゃん飼い始めたんだ〜」
「えっ!?いつから!?種類は何ですか?」
「あ…………えっと、何だっけな?もう直感で決めたから」
男と住んでるなんて言ったら絶対に色んな噂が飛び交うだろうし面倒なことになる。
猫ちゃんって言ってる方が良いと思ったんだけど、辻褄を合わせるのに苦労するな。
「写真見せてくださいよ〜動画とか」
「また今度ね」
「あ、何か怪しいです……本当に猫ちゃんですか〜?オトコの匂いがする」って鋭い指摘をする子も。
それに食らいついてきたアキラが聞き耳を立てているのはわかったので。
「(私にとっては)猫ちゃんだよ」と答える他なかった。
だって猫みたいなんだよ。
バッチリメイクした時とか猫顔になる。
メイク落としても全然甘えてこない自由気ままな白い猫って感じ。
「餌待ってるだろうから先に帰るね」と言ってスタジオから終われば即直帰出来る今の状況にめちゃくちゃ満足してる。
付き合い悪くなった…なんて思われてるかもだけど早く会いたくて仕方ない。
ダッシュで帰って、家にナオが居る現状に胸がはち切れそうなの。
「おかえり〜!わわわっ」
靴を脱いだ瞬間ダイブする。
か細いのに力だけはあるナオは私を抱っこして受け止めてくれるからもうコレが日課ね。
「お疲れ様〜ご飯出来てるよ」
「ナオ〜ナオ〜ナオ〜」
「はいはい、居るよ」
そのまま洗面所に行って降ろしてくれる。
一緒にご飯食べて、各々お風呂に入って、ストレッチして、ネトフリで映画観たり、ダンス振り付け見てもらったりして毎日笑ってる。
並んで歯磨きして同じベッドに寝る。
勿論、そういうことはしない。
約束したから。
お揃いで買ったペアのパジャマ着て同じ時間、同じ場所で寝てるだけで幸せだった。
同じ空間にただ居て欲しい。
色んなこと共有していけたらって思ってる。