碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
今度は鏡に映った2人をモップ持ったままだけどピースして撮る。
「ちょっと、アキラもマスク取って撮ろうよ」って言ったら照れてるのとか中学生かって思う。
そういえばアキラとこんな風に撮るのはなかったな。
モップ置いて色んなポーズで撮った。
顔寄せ合ってアキラの頬を片手で挟んで笑う。
「おい、掃除そっちのけでイチャついてんなよ!」と仲間たちがやって来て結局皆で撮り合った。
やっと仲直りしたかってプチ喧嘩してたことにされたし勝手に元サヤに戻ったことにされている。
新恋人の噂は何処に消えたのやら。
いや、まだそうなったわけではないのだけれども。
皆が見てないところでアキラに髪を優しく引っ張られた。
「この髪型、マジで似合ってる」
「ん………ありがと」
「やっぱアレ?好きな奴出来たとか?」
「そこは俺の為にありがとうとか言うところじゃないの?」
「えっ…!?」
「ほら、いつもそうやっておちゃらけてくるじゃん、アレ?違った?」
「お前………今それは………ハァー」
急に項垂れて溜息。
男心わかってない、とかボソッと言っちゃって。
わかるわけないじゃん、女なんだから。
ううん、わからないフリしてるんだよ。
「コレね、私の大好きな人にやってもらったの、皆にはバレてるけど」
「男?」
「………女の子」
「何だよ、その間は」
「超絶可愛い女の子だよ、皆にはまだ内緒ね?アキラにだけ先に報告」
「マジで女な?わかった、言わないでいてやるよ」
うん、て優しい笑顔を向けられたのは、頭の中にナオが浮かんだから。
(帰ったよ)とメッセージがきていた。
電車メンバーと一緒に帰って駅でバイバイする。
改札を抜けたらダッシュだよ。
もう心が踊ってる。
お互い先に帰った方がメッセージを送るという暗黙のルールが出来ていた。
2人だけのルールに顔がにやけてしまう。
ナオの「おかえり」って言ってくれる笑顔の破壊力は凄まじい。
疲れなんて一気に吹き飛ぶよ。
「めっちゃ髪型褒められたー!」
「え〜やったじゃん!」
自分のことのように一緒に喜んでくれて私を甘やかす。
ヤバいな、沼るよ、この顔に。
惚れてる、綺麗に整い過ぎてる顔。