碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
「リセちゃんが褒められてるの嬉しい」
「私も嬉しい〜!」
手を取り合ってピョンピョン飛び跳ねてる。
今日も撮影だったんだろう、そのままのメイクで帰ってきたのかな。
いつもより眼力凄くてたまにドキッとする。
カメラの前ではどんなキリッとした顔を見せるのだろう。
前髪を撫でてサイドの髪を耳に掛けてあげると軟骨ピアスが見える。
「ナオも今日はいつもより可愛い、どんな撮影だったの?」
「メンズモデルの中に入って夏物のユニセックスコーデで撮られた」
「ナオもメンズなのに?」
「うん、勿論レディースの格好でね」
「だよね、見たかった」
「見る?ちょっとだけスマホでも撮ってもらったよ」
ソファーにくっついて座り、見てみると
「え、ナオ、これ!?」ってびっくりするくらい真剣な眼差しで映ってるプロモデルの顔した格好良い女の子な姿でポージングしていた。
メンズとも何人かと映ってる。
メイクもあると思うけど迫力もあって、堂々としている姿に釘付けになった。
カメラが終わった後なのかな?
オフショット的なめっちゃ笑顔のやつがあった。
「あ〜コレ撮られてるとは気付かなかったんだけど、終わってホッとしてる顔」
「全部欲しい」
「えっ!?」
「送ってよ」
「こ、コレ??」
「そうだよ、めっちゃカッコイイもん」
そう言うとコツンと頭の上に頭を乗せてきた。
「リセちゃんにそれ言われると擽ったいよ、リセちゃんの方が100倍格好良いから」
「プロしてるとこ、ちょっと見れて嬉しい」
「ボクなんてまだまだだよ~男装女子の方が人気あるしね」
「誰が何と言おうとナオが断トツ!」
「アハハ、ありがとう〜」
ムニュっと両手で頬を挟んでじゃれ合う。
どっからどう見ても女の子だけど、何となく、声はやっぱり低いところがあって男の子なんだなって気付かされる。
誤って推し倒しちゃって乗っかる形で顔が近付いてもすぐに戻る私たち。
女の子として扱うことに抵抗はない。
ナオもそれで良いと理解している。
私が判断を誤れば男として叱るねって約束。