碧い雨の夜に…
第2章 【本能的に……】
完全に目が覚めた。
髪を掻き上げ、自分が今抱きついてしまった相手の顔を見る。
「はっ!?アキラじゃん!!」
すぐに離れて何故か正座しちゃう。
しまった、寝惚けるにも程がある。
「だから何回も俺だよって言ったじゃん」って聞こえてなかったよ。
全部、ナオの声に変換されてた。
変なマジックにかかってた!
とりあえず「ごめん…」
「おう、今日はもうちょい寝てろ、あんま寝てないだろ?こっちの分は完成してんだから気にすんな」
「ん………甘えるね?ありがと」
何事もなかったかのように振る舞ってくれたけど、アキラにあんなこと言っちゃうなんて穴があれば入りたい。
ナオのこと考えながら寝たからまだ夢の中だと思ってたのかも。
2時間ほど寝させてもらってバチッと目が開いた。
もう皆が来ていたストレッチも終わっていた。
「理世泊まったって?あのソファーで寝たら身体バキバキなるよ〜?」
着替えは常にロッカーにストックしてあるから大丈夫。
確かにちょっと身体が痛い気もするけどそんなことより何より皆に見てほしい。
「えっ!?もう完成させたの!?早くない!?やばっ、何時までしてたの!?」
「とりあえず踊るから4人覚えて」
アキラ以外の女子にお願いしてイントロから皆の前で初披露した。
すでに歌詞が入っているので口ずさみやすい。
音に合わせて強弱をつけた激しい振り付けから歌が始まると共にスロー且つメリハリのある動きに。
「え、格好良い、ヤバい……天才」
「理世っぽーい!」
「え、え、マジで覚えたい、これ絶対バズるよ?ヤバー!」
「フォーメーションどうなるの?めちゃ良いじゃん!」
あまり激しくて難しいのはきっと好まない。
歌いながらだから息切れしないように、皆が真似しやすいように、
5人がバッチリ揃えば誰もが目を引くダンスになるように心掛けました。
「悪いけど30分で覚えてくれたら嬉しい」
鏡に向かって早速振り付け開始。
それをアキラが撮ってくれている。
「マジでかっけーよ、頑張ったな」って言ってくれて嬉しかった。
オーナーからも太鼓判を押してもらえたからコレで出す。
受け入れられるかどうかは向こう次第。
却下されたらまた一からやり直し…だけども。