もうLOVEっ! ハニー!
第6章 思惑先回り
「……ずっと考えてたんですよ」
「あ?」
私は乾いた唇をそっと舐めた。
「岳斗さんに命令権譲ってもらってから、なんて言おうかって」
目線が固まって動かない。
あの時の会話が脳裏によみがえっては消える。
もう近づかないで。
初めに浮かんだのはもちろんこれです。
でもそれがなんになるでしょう。
同じ寮にいるんです。
同じ学校に通うんです。
同じ毎日を過ごすんです。
だからまた考えました。
私に触らないで。
これはなかなか。
でもなんだか違うんです。
私をバカんなと呼ばないつばるに、私はどこかで近寄りたいと思っている。
あんなことされて本当に馬鹿です。
でも、これも違うんです。
じゃあ、何を……
「それで?」
「正直、まだ決めてませんでした」
「なんでだ?」
ふうっと息を吐く。
なんで、ですか。
「なんででしょうね。わかりません」
「俺はお前がわかんねえよ」
「そうですか」
「いじめられてたときもそうだ。泣くわけでも怒るわけでも無関心でもねえ。お前は奇妙だった。何考えてんのかわかんなかった」
今更何の告白ですか。
もう一度息を吐く。
そこでつばるが口を開いた。
「兄貴はな」
「……え?」
「兄貴は、こう命令したんだ。兄って呼べって。兄として接しろって」
あ。
だから……「兄貴」。
つばるが口を歪める。
「可笑しいよな。なんだそれって感じだ」
「こばる先輩のこと、嫌いですか」
「は? 俺が? 嫌いだよ。家族見捨てた兄を好きになれんのか」
「そうは見えませんけど」
「俺の話はいいんだよ」
「貴方が始めたんじゃないですか……」
「あ?」
私は乾いた唇をそっと舐めた。
「岳斗さんに命令権譲ってもらってから、なんて言おうかって」
目線が固まって動かない。
あの時の会話が脳裏によみがえっては消える。
もう近づかないで。
初めに浮かんだのはもちろんこれです。
でもそれがなんになるでしょう。
同じ寮にいるんです。
同じ学校に通うんです。
同じ毎日を過ごすんです。
だからまた考えました。
私に触らないで。
これはなかなか。
でもなんだか違うんです。
私をバカんなと呼ばないつばるに、私はどこかで近寄りたいと思っている。
あんなことされて本当に馬鹿です。
でも、これも違うんです。
じゃあ、何を……
「それで?」
「正直、まだ決めてませんでした」
「なんでだ?」
ふうっと息を吐く。
なんで、ですか。
「なんででしょうね。わかりません」
「俺はお前がわかんねえよ」
「そうですか」
「いじめられてたときもそうだ。泣くわけでも怒るわけでも無関心でもねえ。お前は奇妙だった。何考えてんのかわかんなかった」
今更何の告白ですか。
もう一度息を吐く。
そこでつばるが口を開いた。
「兄貴はな」
「……え?」
「兄貴は、こう命令したんだ。兄って呼べって。兄として接しろって」
あ。
だから……「兄貴」。
つばるが口を歪める。
「可笑しいよな。なんだそれって感じだ」
「こばる先輩のこと、嫌いですか」
「は? 俺が? 嫌いだよ。家族見捨てた兄を好きになれんのか」
「そうは見えませんけど」
「俺の話はいいんだよ」
「貴方が始めたんじゃないですか……」