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もうLOVEっ! ハニー!

第7章 彼女の横顔

 汐里が手を叩きながらカウンターに出てくる。
「のんびりしすぎじゃないかー? そろそろ八時になるぞ」
 その一声に全員がほぼ同時に椅子を引いた。
「やっべ! 急ぐぞ、つばる。今日俺日直だったわ」
「かんなっ、ボクが鞄持ってくからね」
「あ、待ってくださいっ」
 カランカランと涼しい音の下、学園に向かって走る。
 丁度階段から降りてきた薫も追いかけて早足になる。
「陸先輩っ、おはようございます!」
「お? 薫ちゃん、おはよ」
「薫でいいですー!」
 走りながら会話してよく噛みませんね。
 薫とつばると教室に入る。
 この1-3というクラスも今日で一週間目です。

 放課後になり、待ち合わせしていた美弥達と合流する。
 達に含まれるのは久瀬尚哉と手鞠賢と早乙女兄弟だ。
「あれ? 陸さんは」
「村山とデート」
 久瀬が毒づくように吐き捨てる。
 嫌いなんですかね。
「くーちゃん、妬くな」
「うっせ。なんであんな一年に惚れるかね、陸の野郎」
 陸さんと仲好かったでしたっけ。
 首を傾げていると、つばるが隣に来て言った。
「櫻井柚覚えてるか?」
「いきなりなんですか」
「そうだよっ! いきなりボクのかんなに近づくな!」
「美弥先輩は関係ないでしょ」
「ボクは美緒っ!」
 怒鳴る美弥をこばるがなだめる。
 少し皆から離れてつばるに訳を訊く。
「私に鉛筆削りを投げた人が何で今更出てくるんですか」
「ハンカチ持ってたくらいだもんな。覚えてるよな……その」
 言いづらそうに濁らせる。
 あの日のことはもう切り離した過去なのに。
「あいつから連絡来てさ」
「元カノだったんですか?」
「いや」
「ああ。私以外の全員とヤったんでしたね」
「さらりと言うな。お前はそういうこと」
 桜が散る。
 ああ、そろそろ葉桜になるんですね。
 それを見上げて数秒経つ。
「……村山薫がな、知り合いらしいんだ」
「はい!?」
 余程嫌な顔をしてしまったんでしょう。
 つばるが眉を上げる。
「俺も詳しいことは知らねえけど。そのせいでここにいることばらされたみたいだし」
「は……はあ?」

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