もうLOVEっ! ハニー!
第1章 生まれ変わり
白いカップから見えるスフレ生地に、生クリームとカスタードを織り交ぜた顔。
チョコソースで描かれた顔。
「しーちゃんはイタリアでパティシェやってたんだよー。今日かんなが来るって聞いてたからリクエストしといたんだ」
「うわ、美弥イケメン」
「でしょ~。惚れちゃってよかんな」
こばるの賞賛とは裏腹に陸が低い声で呟く。
「男だったらどうすんだよ……」
「あーんしてもらっちゃう! ふふ!」
ハイテンションな美弥にもう口を開く気力もなくなったのか、カウンターに頬杖をつく。
なんだか、陸さん可愛いです。
「食べたら?」
隆人がスプーンを差し出してくれた。
まだ夕食前だが、せっかくのサプライズ。
ふわふわのケーキを一口。
「どう?」
眼を輝かせて美弥が尋ねる。
私は口に手を当てたまま俯いてしまった。
「えっ、アレルギー?」
汐里が焦って奥からキッチンペーパーを持ってくる。
でも、私は首を振った。
そして、身を起こして何度も頷く。
「美味しいです……凄く、凄く」
何年ぶりでしょう。
ケーキなんて。
それもこんなに丁寧なケーキ。
美弥がぎゅっと頭を抱きしめる。
「良かった~」
「やっぱり美弥に任せたら安心だね」
わしゃわしゃと頭を撫でまわされながら隆人の言葉を聞いた。
色々と部屋を回って、最後に屋上にやってきた。
こばるが飛び出して、陸と競争しながら走って端まで行く。
「もう星が見えるね」
青空に何点かの光。
カチンと音がしたかと思うと、隆人が煙草に火を点けた。
「ああ、ごめんね? ここでしか吸えないからさ」
「かんなは煙草好きかにゃ」
「嫌い……ではないですけど」
「はい、管理人有罪っ!」
「なにそれ」
笑いながらフェンスにもたれて煙を吐く。
大人です。
父の姿が脳裏に浮かぶ。
なんて違うんだろう。
なんて、隆人さんは美しいんだろう。
なんて、父は醜かったんだろう。
無表情になった私を見て、美弥が手を叩く。
「かんな、こっち来て」
細い手に導かれていくと、そこには小さなドーム型の展望台があった。
鉄扉がついていて、鍵穴が三つもある。
「夏は流星群とか見れるし、結構凄いよ。何度か入ったことがあるんだけどね、かんなも今度一緒に観よう」
天体観察。
いいですね。
「誘ってくださいね」
長い髪を風に舞わせて、美弥が笑んだ。
チョコソースで描かれた顔。
「しーちゃんはイタリアでパティシェやってたんだよー。今日かんなが来るって聞いてたからリクエストしといたんだ」
「うわ、美弥イケメン」
「でしょ~。惚れちゃってよかんな」
こばるの賞賛とは裏腹に陸が低い声で呟く。
「男だったらどうすんだよ……」
「あーんしてもらっちゃう! ふふ!」
ハイテンションな美弥にもう口を開く気力もなくなったのか、カウンターに頬杖をつく。
なんだか、陸さん可愛いです。
「食べたら?」
隆人がスプーンを差し出してくれた。
まだ夕食前だが、せっかくのサプライズ。
ふわふわのケーキを一口。
「どう?」
眼を輝かせて美弥が尋ねる。
私は口に手を当てたまま俯いてしまった。
「えっ、アレルギー?」
汐里が焦って奥からキッチンペーパーを持ってくる。
でも、私は首を振った。
そして、身を起こして何度も頷く。
「美味しいです……凄く、凄く」
何年ぶりでしょう。
ケーキなんて。
それもこんなに丁寧なケーキ。
美弥がぎゅっと頭を抱きしめる。
「良かった~」
「やっぱり美弥に任せたら安心だね」
わしゃわしゃと頭を撫でまわされながら隆人の言葉を聞いた。
色々と部屋を回って、最後に屋上にやってきた。
こばるが飛び出して、陸と競争しながら走って端まで行く。
「もう星が見えるね」
青空に何点かの光。
カチンと音がしたかと思うと、隆人が煙草に火を点けた。
「ああ、ごめんね? ここでしか吸えないからさ」
「かんなは煙草好きかにゃ」
「嫌い……ではないですけど」
「はい、管理人有罪っ!」
「なにそれ」
笑いながらフェンスにもたれて煙を吐く。
大人です。
父の姿が脳裏に浮かぶ。
なんて違うんだろう。
なんて、隆人さんは美しいんだろう。
なんて、父は醜かったんだろう。
無表情になった私を見て、美弥が手を叩く。
「かんな、こっち来て」
細い手に導かれていくと、そこには小さなドーム型の展望台があった。
鉄扉がついていて、鍵穴が三つもある。
「夏は流星群とか見れるし、結構凄いよ。何度か入ったことがあるんだけどね、かんなも今度一緒に観よう」
天体観察。
いいですね。
「誘ってくださいね」
長い髪を風に舞わせて、美弥が笑んだ。