もうLOVEっ! ハニー!
第16章 台風の目の中
目の前で立ち止まり、画面をスライドする。
「結構前だから、ちょっと待って」
カメラロールを過去に過去に送りながら、処刑を待つような時間が流れる。
「ああ、これだ」
清龍の声に全身が強ばる。
忘れもしないあの日の姿が、まさか世の中に残っているなんて。
浅く呼吸を繰り返しながら、顔を上げて画面を見る。
一瞬何が写っているのか分からないほど暗かった。
顔を近づけじっとみたところで、目の前から画面が消えて首に手を回され、あっという間に床に押し倒される。
仰向けになって手首を押さえられてるのを認知してからも、口以外が動かない。
「な、なんで……」
清龍は携帯画面を再度突きつけ、微笑んだ。
「嘘に決まってる。考えて分からなかった?」
そこに映るのは名も知らぬ女性の裸。
ネットにころがっているような、なんの意味も関係もない画像。
「騙したんですか」
「そうなるよね」
踏みつけられた太ももが痺れてくる。
携帯を脇に置いた清龍の手が、顔を掴む。
「これからどうなるかわかる?」
楽しくて堪らない響きを伴った声。
指先が頬を撫でて、軽く爪を立てる。
「本当に、いやらしい写真を撮られるんだよ」
唾が喉に流れて、ごぐりと飲み下す。
心臓がさっきよりも、煩い。
あまりに静かで、目の前の男の耳にまで聞こえていそうだ。
つき飛ばそうと肩に触れた手は難なく掴まれて、両手をまとめて押さえられる。
「ぃっ、や!」
「あの時もそうだった」
「やめっ……あっ」
服の上から乱暴に股の間を掴まれる。
恐怖が全身を包み込んで、歯がカチカチとなる。
「純粋で、バカな君は簡単に裸にされて」
下着ごとズラし上げられ、胸があらわになる。
そこに唇が当たり、悲鳴に似た声が上がる。
「綺麗な体を汚されるんだよ」
食むように咥えられた乳頭がビリリっと電気を脳まで走らせる。
気持ちよくなんてない。
絶対にない。
首を振り、脚をバタつかせる。
「ひっ、ぃやっ」
わざと唾液の音を鳴らし、きつく吸われる。
ガリ、と全体を噛まれてビクンと跳ね上がる。
「やだっ、やめてっ」
硬い床で肩甲骨が擦れて痛い。
踏まれた脚も、押さえられた手首も痛い。
私のことなんて何一つ考えていない行為に、怒りと悔しさで涙が溢れ出す。