もうLOVEっ! ハニー!
第16章 台風の目の中
近づいてくる影に、なにか抵抗をと傍らの内線電話を手に取ろうとする。
ボタンを押す前に奪われて、そのまま受話器でガツンと額を殴られた。
熱く痛む額を押さえている隙に、コードを抜いて電話を床に投げ捨てると、容赦なく服を剥ぎ取られる。
糸を引いた下着を見られて、消えたくなる。
清龍は荒い息のまま太ももを掴むと、無理やり開いてそこに顔を近づけた。
何をされるか察して、自分の手の甲を強く噛む。
舌が触れた途端に制御出来ない声が漏れた。
濡れたそこを舌が這い回り、内ももを強く吸われて痕を残される。
赤いマークを撫でながら楽しげに笑う。
「これは隠せないだろ」
誰に対してかなんて言う必要も無い。
もうとっくに手遅れなんだ。
この部屋のチャイムを押してしまってから。
証拠もない脅しに屈してから。
この人は身体中に跡を刻もうとしてるんだ。
ぎゅうっと縮まった下腹部に爪が立つ。
「どこもかしこも柔らかくて、白くて……」
濡れた舌が臍の周りを舐めたかと思うと、突き刺すように蹂躙する。
「あっ、んん」
「可愛い」
歯先が腰骨に当たり、ググッと噛まれる。
その間も、もう片手の指先が膣の中に侵入し、グリグリと動き回る。
痛みと痺れに脳が役割を放棄して、快感にだけ縋りつこうとしている。
絶え間無い刺激に喉も枯れて、ただただ自分の声をこれ以上聞きたくないと指を噛む。
両肩を押えられ、向き合った清龍の昂った自身が押し付けられる。
「ガクは、中に出した?」
「いっ、いや! やだっ!」
一気に突き上げられて、否定の声が喘ぎに変わる。
膨張するそれが激しく打ち付けられる。
「や、ば……気持ちいい」
どこまでも、身勝手に身体を使われる。
舐められた全身から汗が伝い、密着した肌が淫らに音を鳴らす。
ベッドの縁に頭がぶつかり、それでも尚ギシギシと強まる動きに、泣きながら縁を握りしめる。
「すぐイきそ……」
外にとどれほど懇願しても、この男が拒否するのはわかっていた。
それでも抵抗を続けた。
放たれた熱い衝撃と、抱きしめられて余韻でビクつく互いの体に心が閉じていく。
なんて醜い。
あのトラウマの続き。
すえた味のするキスをされ、壁に手を付きながら顔の上に跨ると、性器がのしかかる。
「舐めて」
もう何もかもがべちゃついて、思考が止まっていた。