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もうLOVEっ! ハニー!

第17章 深い底まで証を


 扉に耳を当てるのは馬鹿らしかった。
 ただ、かんなが降りていった後で、真実を知りたくて行動に移してしまった。
 峰の部屋の扉の開閉音がしてから、そっとシャワー室に向かう。
 読み通り、シャワーを浴びに入ったようで、服の入った籠の前に立ち、周りを確認する。
 他の寮生が来ないのを祈りながら、モゾモゾと漁って携帯を取り出した。
 四桁のパスワードでロックされている。
 当たり前だ。
 文集に記載されていた誕生日を試しに入れてみる。
 違うか。
 部屋番号を四桁にして入れてみる。
「嘘だろ……」
 開いたホーム画面に、心臓が早鐘を打つ。
 シャワーの音はまだ聞こえてる。
 セキュリティガバガバかよ。
 まあ、部屋番号を知っているやつしか開けないなら問題ないのか。
 急いで画像フォルダをクリックする。
 一番最新の肌色の多い画像をクリックし、危うく床に落としそうになってしまった。
 えげつねえ。
 スライドして、一週間前まで遡る。
 そこから先はスクショや、景色だった。
 となると、つい最近か。
 急いでフォルダアプリを消し、元の場所に戻してから、シャワー室を後にした。
 自室に戻って耳をそばだてる。
 峰の部屋のドアがまた開閉する音を聞いてから、大きくため息を吐いた。
「なんであんなもん、撮られんだよ……」
 以前のデータで脅されているのかもしれないと、最初の履歴まで見たかったが時間がなかった。
 中学の時、女子に頼まれて動画を撮らされたことがある。
 しかし、あれはどう見ても合意には見えなかった。
 クソ。
 気分悪ぃ。
 つばるは窓に額を押し付けて、何度か深呼吸を繰り返した。
 俺の言った通りになってんじゃん。
 性処理に使われてんじゃねえよ。
 拒絶と回避を覚えろよ、あいつは。
 経緯を考えるのも胸糞悪く、階段で泣きはらした目のかんなを思い返した。
 そりゃ彼氏に言えねえか。
 てか俺が口を挟むことでもねえか。
 ガク先輩にも啖呵切ったし。
 ピアッサーで無理やり開けられた痕をつまんで、自嘲気味に笑う。
 傍から見たら同類だろ。
 俺も峰先輩も。
 拒否できない女の子を脅して。
「あー……」
 一学期後半は抑えられぬ性欲を、告白してきた女子たちで鎮めてきた。
 二度とかんなに意識が向かぬよう。
 中学の時と同じ手段で。
 だが、今回のこれはどうだ。
 

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