もうLOVEっ! ハニー!
第6章 思惑先回り
朝が来た。
入学式の朝。
待ち望んでいた新たな生活の高校ライフ。
それは想像とはずいぶん違う環境でのスタートで。
過去からの追っ手はお二人。
早乙女つばる。
「おい」
「え?」
制服に着替えて講堂に向かっている道中。
「華海都寮生徒は一番端の列だってよ。来い」
掴まれかけた手から逃げる。
つばるは一瞬眉を潜めてそれから不敵に笑った。
ひらひらと手を振って先に並ぶ。
その背中は愉快げで。
「お二人ここにいたんですねっ……探しました」
「薫さん」
「えへへっ。陸さんが教えてくれました」
「良かったです」
つばると二人きりなんて一秒も嫌ですから。
そして、もう一人。
峰清龍。
「はよ、並べや」
「わかってる」
「お前昨日からおかしいで? ボタンもかけ間違うてるし」
岳斗の言葉に自分を見下ろし溜息を吐く。
プツプツとボタンを直しながら一年の方を仰ぐ。
華海都寮は三列。
二年の向こうに松薗かんなが見える。
「どこ見てん?」
「別に」
「つまらなっ」
「言ってろ」
「喧嘩はやめろよー」
司が不満そうに注意する。
「ただでさえガクが邪魔で前が見えないんだからさー」
宇宿司は百七十ちょっとの身長で三年男子の中でも低い。
その比較が百八十五の岳斗だから猶更だが。
「うっさいわ。肩車でもするか?」
「してくれんのっ?」
「冗談や、あほ」
「ああもうっ、あんたらうるさいっ」
「茜が切れたで!」
男子の前に並んだ女子の中で茜が声を上げた。
先頭は蘭で毅然として立っている。
美弥はニヤニヤしながら茜の口を後ろから塞いだ。
「むぐっ」
「朝からいらいらは美容にわるいにゃー。茜は短気」
「噛むよ?」
「むしろ噛んで! するめなんかよりボク噛んでっ。痛いのも大歓迎!」
「奈巳! 奈巳はどこ? この一人宝塚どうにかしろっ」
くちゃくちゃとするめを噛みながら後ろを見るが、目的の人物はいない。
「奈巳はさぼりだよー」
隣の列の亜季の言葉に落胆の色を隠せない茜だが、式が始まりおとなしく前を向いた。
入学式の朝。
待ち望んでいた新たな生活の高校ライフ。
それは想像とはずいぶん違う環境でのスタートで。
過去からの追っ手はお二人。
早乙女つばる。
「おい」
「え?」
制服に着替えて講堂に向かっている道中。
「華海都寮生徒は一番端の列だってよ。来い」
掴まれかけた手から逃げる。
つばるは一瞬眉を潜めてそれから不敵に笑った。
ひらひらと手を振って先に並ぶ。
その背中は愉快げで。
「お二人ここにいたんですねっ……探しました」
「薫さん」
「えへへっ。陸さんが教えてくれました」
「良かったです」
つばると二人きりなんて一秒も嫌ですから。
そして、もう一人。
峰清龍。
「はよ、並べや」
「わかってる」
「お前昨日からおかしいで? ボタンもかけ間違うてるし」
岳斗の言葉に自分を見下ろし溜息を吐く。
プツプツとボタンを直しながら一年の方を仰ぐ。
華海都寮は三列。
二年の向こうに松薗かんなが見える。
「どこ見てん?」
「別に」
「つまらなっ」
「言ってろ」
「喧嘩はやめろよー」
司が不満そうに注意する。
「ただでさえガクが邪魔で前が見えないんだからさー」
宇宿司は百七十ちょっとの身長で三年男子の中でも低い。
その比較が百八十五の岳斗だから猶更だが。
「うっさいわ。肩車でもするか?」
「してくれんのっ?」
「冗談や、あほ」
「ああもうっ、あんたらうるさいっ」
「茜が切れたで!」
男子の前に並んだ女子の中で茜が声を上げた。
先頭は蘭で毅然として立っている。
美弥はニヤニヤしながら茜の口を後ろから塞いだ。
「むぐっ」
「朝からいらいらは美容にわるいにゃー。茜は短気」
「噛むよ?」
「むしろ噛んで! するめなんかよりボク噛んでっ。痛いのも大歓迎!」
「奈巳! 奈巳はどこ? この一人宝塚どうにかしろっ」
くちゃくちゃとするめを噛みながら後ろを見るが、目的の人物はいない。
「奈巳はさぼりだよー」
隣の列の亜季の言葉に落胆の色を隠せない茜だが、式が始まりおとなしく前を向いた。