どこまでも玩具
第8章 任された事件
場所に着く。
そして、改めてメールを確認すると、待ち合わせは二時間後だった。
なにしてるんだ、本当。
ろくに読みもしなかった自分に呆れる。
ウロウロして、時間を持て余す。
二時間か。
ポン。
肩を叩かれて振り返る。
中年の男だった。
見たことがない。
無視して通り過ぎようとすると、男が囁いた。
「一万で付き合ってくれない?」
目を見張る。
なんだ、こいつ。
舐めるような目つきで眺めてくる。
そこで、自分の格好を思い出した。
ダボダボのTシャツに緩いズボン。
なるほど。
男娼にも見えなくない。
下らない。
俺は歩き出した。
すぐに腕を掴まれる。
「離せっつの」
「そんな格好で金もないんだろ?」
余計なお世話だ。
振り解きたいのに力が出ない。
「どうせ抱かれに来たんだろ」
思考が停止する。
男はニヤリと笑った。
違う。
そんなわけない。
呼び出されたから来ただけだ。
違う。
自分が否定する。
だって、なにされるかなんてわかってるじゃないか。
類沢とコイツの何が違う。
体から力が抜ける。
「大丈夫。君みたいに可愛い子には優しくするから」
優しく。
優しく、か。
気づけばホテルにいた。
後ろから抱き締められる。
がっしりした腕だ。
何もしないでいると、体中をなで回される。
ザワザワと鳥肌立つ。
気持ち悪い。
ハァハァと荒い息が首筋を這う。
「ふ……ッッく」
指を噛んで声を押さえる。
コイツ、慣れてる。
あっという間に敏感な所を見つけ、責め立てる。
すぐにズボンに手が伸びてきた。
拒絶しようとしたが、間に合わない。
大きな手が、起ちかけたそれを包む。
「……下着、つけてないんだな」
ビクッ。
すぐに中に手が入って来て擦り上げられる。
「ん、ぁ……は……」
なんで、下着も忘れてるんだ。
快感が頭を麻痺させる。
グチュ。
先走りが男の手を濡らす。
ズボンにも染みが出来てきた。
嫌だ。
汚しちゃダメなのに。
腰が崩れ、男のなすがままになってしまう。
しつこく先端を揉みしだかれ、限界が近づく。
「あぁ……ッッひ」
「淫乱な野郎だな」
ギリギリで止められる。
「経験あるんじゃないか」
ベッドに押し倒される。
「はッッ……ある、ワケ……」
「嘘吐け」