どこまでも玩具
第8章 任された事件
黙ったまま。
この空気は辛いが、永遠に続けばいいと思ってる自分もいる。
喫茶店を出て、類沢の家に歩く。
本当は帰りたいが、制服とか荷物とか取らなきゃいけない。
それに、このままなんてダメに決まってる。
ブカブカのコートの裾を弄る。
隣を見ると、背広で寒そうな類沢がいる。
申し訳ないな。
少しだけ、そう感じる。
煙草を取り出し、火を点ける。
何度か見たことある光景だが、今日は一度も味わっていないように見えた。
まるで舌先でただ煙を転がしているようだ。
俺のせい?
今、あんたが不機嫌なのは俺のせい?
「危ないよ」
赤信号を渡りかけた俺の手を引く。
煙草の匂いが掠めた。
余り美味しくなさそうな匂いだ。
気まずい行程の果て、玄関に入ると電気も点けずに類沢は鍵を閉めた。
ゾワリとして、俺は急いで部屋に行こうとする。
暗闇から捕まえられた。
「……確認させなよ」
息が上手く出来ない。
カーテンから漏れる月明かりに照らされた彼の顔は、あまりに冷たい。
「誰と、何をしてたのか」
言葉が鼓膜を舐める様に脳を浸す。
怖い。
今までで一番、彼が怖い。
昨日より。
初めて会った時より。
沈黙の中で何を煮えたぎらせていたのだろう。
俺は想像して寒気がした。
Tシャツを素早く剥ぎ取られ、一瞬類沢の目が見開いた。
男に残されたキスマークを見つけたんだ。
彼が付けた鎖骨のよりずっと下。
無様な跡を。
俺は身を引き震えるしかなかった。
もう、確信はしているんだろう。
ズボンに手をかける。
秘部にかけられた指が音を立てた。
クチャ。
俺は顔を下に向ける。
類沢は黙って、孔に指を入れる。
腰が落ちそうになったが、彼の手がしっかり支えている。
身動きとれない位強く。
中に入り込む感覚に声が漏れそうになり、必死に堪えた。
「……瑞希、正直に答えてご覧」
目を瞑る。
「これは、誰のもの?」
目を開けると、白濁に濡れた類沢の指があった。
紛れもない。
あの男の。
処理なんて知らない俺には落とせなかった証拠。
「……さっき、一緒にいた人です」
「名前は?」
「……知らない」
「名前も知らない奴と自分から?」
全て事実だ。
耳を塞ぎたい。
類沢は首を振って一言云った。
「犬以下だよ…お前」
この空気は辛いが、永遠に続けばいいと思ってる自分もいる。
喫茶店を出て、類沢の家に歩く。
本当は帰りたいが、制服とか荷物とか取らなきゃいけない。
それに、このままなんてダメに決まってる。
ブカブカのコートの裾を弄る。
隣を見ると、背広で寒そうな類沢がいる。
申し訳ないな。
少しだけ、そう感じる。
煙草を取り出し、火を点ける。
何度か見たことある光景だが、今日は一度も味わっていないように見えた。
まるで舌先でただ煙を転がしているようだ。
俺のせい?
今、あんたが不機嫌なのは俺のせい?
「危ないよ」
赤信号を渡りかけた俺の手を引く。
煙草の匂いが掠めた。
余り美味しくなさそうな匂いだ。
気まずい行程の果て、玄関に入ると電気も点けずに類沢は鍵を閉めた。
ゾワリとして、俺は急いで部屋に行こうとする。
暗闇から捕まえられた。
「……確認させなよ」
息が上手く出来ない。
カーテンから漏れる月明かりに照らされた彼の顔は、あまりに冷たい。
「誰と、何をしてたのか」
言葉が鼓膜を舐める様に脳を浸す。
怖い。
今までで一番、彼が怖い。
昨日より。
初めて会った時より。
沈黙の中で何を煮えたぎらせていたのだろう。
俺は想像して寒気がした。
Tシャツを素早く剥ぎ取られ、一瞬類沢の目が見開いた。
男に残されたキスマークを見つけたんだ。
彼が付けた鎖骨のよりずっと下。
無様な跡を。
俺は身を引き震えるしかなかった。
もう、確信はしているんだろう。
ズボンに手をかける。
秘部にかけられた指が音を立てた。
クチャ。
俺は顔を下に向ける。
類沢は黙って、孔に指を入れる。
腰が落ちそうになったが、彼の手がしっかり支えている。
身動きとれない位強く。
中に入り込む感覚に声が漏れそうになり、必死に堪えた。
「……瑞希、正直に答えてご覧」
目を瞑る。
「これは、誰のもの?」
目を開けると、白濁に濡れた類沢の指があった。
紛れもない。
あの男の。
処理なんて知らない俺には落とせなかった証拠。
「……さっき、一緒にいた人です」
「名前は?」
「……知らない」
「名前も知らない奴と自分から?」
全て事実だ。
耳を塞ぎたい。
類沢は首を振って一言云った。
「犬以下だよ…お前」