どこまでも玩具
第3章 枯らされた友情
過呼吸になるほど喚いた紅乃木の背中をさする。
「アカ、何か水とか買ってくるからさ、そこで待ってろよ」
俺はそばにいるのが辛くなって息だけをしている彼から離れた。
公園の出口で振り返ると、紅乃木は空を見上げていた。
風が持ち上げる髪先が燃え上がる炎の舌みたいだ。
美しいというより怖くなって、目を逸らす。
すぐそこにある自販機で水を二本買い、走って戻った。
だが、彼が立ってた場所には誰もいなかった。
「アカ―? アカいる?」
冷たいボトルが体温を奪ってゆく。
ベンチには俺の鞄しかなかった。
放っとくべきか。
否か。
そんなの考えるまでもない。
このままでは明日にも三人が元の親友に戻る可能性は絶たれるだろう。
俺のせいで。
気づけば紅乃木の家の方向に走り出していた。
人影は見えない。
息が上がる。
引退して1ヶ月そこらなのに。
体力は溶けたみたいに消えている。
結局紅乃木の家に着いてしまった。
ポケットで振動がして携帯を見る。
メール一件。
『瑞希は優しいね。でも会うわけにはいかない』
俺は読み終えるやすぐに両手で打つ。
『言いたいことはまだあるんだろ? 本気でこのままで良いと思ってるのかよ』
『復讐果たせなくてごめん。今度から金原と二人で行動してくれる』
『何でアカが責任感じてるんだよ。金原は恨んでなんかないって』
『それでも今までと同じにはなんないよ』
握りしめた携帯がギシリと鳴る。
『全部俺のせいなんだろ!』
頭がカアッと熱くなる。
目頭まで熱が降りてきて、涙が頬の下で波打っている。
ガチャリ。
ドアが開いて紅乃木が出てくる。
二人は間を開けて向かい合う。
「……瑞希のせいだなんて考えてないから」
俺は地面を睨みつけた。
「それでもきっかけは俺だろ。俺のせいで金原まで……類沢に」
チャキ。
カシン。
妙な金属音に紅乃木の手元を見る。
見て、そして鳥肌立った。
「じゃあさ、最後の一人が成功させれば良いんだよね」
携帯ナイフ。
スイッチをカチカチ弄りながら、飛び出す刃物を眺める紅乃木は常人の眼をしていなかった。
チャキ。
金原が昨日見せた目つき。
カシン。
殺意に溢れかえった冷たい目。
「……アカ」
「流石に刺せば効くよね」
ああ
壊れてく
日常が
「アカ、何か水とか買ってくるからさ、そこで待ってろよ」
俺はそばにいるのが辛くなって息だけをしている彼から離れた。
公園の出口で振り返ると、紅乃木は空を見上げていた。
風が持ち上げる髪先が燃え上がる炎の舌みたいだ。
美しいというより怖くなって、目を逸らす。
すぐそこにある自販機で水を二本買い、走って戻った。
だが、彼が立ってた場所には誰もいなかった。
「アカ―? アカいる?」
冷たいボトルが体温を奪ってゆく。
ベンチには俺の鞄しかなかった。
放っとくべきか。
否か。
そんなの考えるまでもない。
このままでは明日にも三人が元の親友に戻る可能性は絶たれるだろう。
俺のせいで。
気づけば紅乃木の家の方向に走り出していた。
人影は見えない。
息が上がる。
引退して1ヶ月そこらなのに。
体力は溶けたみたいに消えている。
結局紅乃木の家に着いてしまった。
ポケットで振動がして携帯を見る。
メール一件。
『瑞希は優しいね。でも会うわけにはいかない』
俺は読み終えるやすぐに両手で打つ。
『言いたいことはまだあるんだろ? 本気でこのままで良いと思ってるのかよ』
『復讐果たせなくてごめん。今度から金原と二人で行動してくれる』
『何でアカが責任感じてるんだよ。金原は恨んでなんかないって』
『それでも今までと同じにはなんないよ』
握りしめた携帯がギシリと鳴る。
『全部俺のせいなんだろ!』
頭がカアッと熱くなる。
目頭まで熱が降りてきて、涙が頬の下で波打っている。
ガチャリ。
ドアが開いて紅乃木が出てくる。
二人は間を開けて向かい合う。
「……瑞希のせいだなんて考えてないから」
俺は地面を睨みつけた。
「それでもきっかけは俺だろ。俺のせいで金原まで……類沢に」
チャキ。
カシン。
妙な金属音に紅乃木の手元を見る。
見て、そして鳥肌立った。
「じゃあさ、最後の一人が成功させれば良いんだよね」
携帯ナイフ。
スイッチをカチカチ弄りながら、飛び出す刃物を眺める紅乃木は常人の眼をしていなかった。
チャキ。
金原が昨日見せた目つき。
カシン。
殺意に溢れかえった冷たい目。
「……アカ」
「流石に刺せば効くよね」
ああ
壊れてく
日常が