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あの店に彼がいるそうです

第12章 どんな手でも使いますよ


 何とか口を開いて食むように吸い付いてみる。
 吐きそう……
 喉をせり上げてくるものを堪えて唾を飲み込む。
「あー……鵜亥はん」
 そんな俺を見下ろしながら汐野が力なく言った。
「なんだ?」
「こいつ、多分……経験ないで?」
 ぴたりと鵜亥が止まる。
 それから俺の腰を撫でた。
「ないのか。あの類沢に使われてたんじゃないのか?」
「ちがっんん」
「喋らんでええで。いや、オレが言うてんのは口の話だけであって」
「それは調教し甲斐があるんじゃないか、汐野」

 ぽたり、と汗が落ちる。
 わ……。
 汐野はつい見とれてしまった。
 イきそうなんや、鵜亥はん。
 このガキのケツで。
 額に滲んだ汗と頬に伝っていくそれと、歪んだ眉。
 眼だけは鋭く光って。
 今、出すの我慢してその先っぽからはびくびく液が流れてるんやろ。
 やば。
 自分のも反応して勃ち上がる。
 扱きたい。
 こいつの拙いフェラじゃイけん。
 鵜亥はんと一緒に……
「どうした、汐野」
「っ……なんも」
 再び意識をガキに集中させる。
 とろけた顔を殴りたくなる。
 お前、鵜亥はんに抱かれてるんやで。
 わかっとる?
 裏筋をなぞり、玉を口に含ませる。
 少しずつ、快感が昇ってくる。
 でも足りるわけがない。
 瑞希を片手で押さえつつ、もう片方の手で自身のシャツをまさぐって乳首を摘まむ。
 ピアスに爪をかけ、ぎりぎりと下に引く。
「っく……」
 引き千切れそうなほど。
 痛いほど、いい。
「口、開けてろ」
 ずぶ、と喉奥まで挿入する。
「んんんっぶ」
 唇をすぼめて、必死に歯を立てないようにして。
 ああ、巧が重なる。
 あのぼんもこんな風に鵜亥はんのを咥えとったな。
 ジュプジュプ、と音が響く。
 引き出される時にカリに舌を引っ掻けるせいで、びくりと緩みそうになってしまう。
 涙目で瑞希がこちらを見上げた。
 うわ……。
 求めるように、訴えるように、蔑むように、憐れむように、悲しむように、煽るように、怒るように。
 感情の渦がその瞳でのたうつ。
 こいつ……なんやの。
 一瞬惹きつけられた自分に戸惑う。
 だが、すぐに腑に落ちた。
 ああそうか。
 こいつは、鵜亥はんを惚れさせた奴やったな。
 あの類沢とかも。
「ん、ふ……っふ、っく」
 乱暴にスライドをさせる。
 むかつく。
 むかつくなあ。
 

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