雨とピアノとノクターン
第1章 出会い編:金髪の野良猫
僕の名前は佐屋 輝《さやひかる》。青葉学園の高校二年。両親は数年前に飛行機事故で失くした。演奏旅行に行く途中、テロに遭遇したのだ。
両親は揃ってピアニストだった。そんな影響からか、僕も少しだけピアノが弾けた。
両親の遺産も少しはあったけれど…、僕には将来、理Ⅲに進む予定があったため、学費を稼ぐためにピアノバーでピアノを弾いていた。
マスターは最初体よく「未成年お断り」と言っていたが、僕の将来のビジョンと突然の不幸に同情してくれた。
そんなわけで、未成年でも「大学生」という名目で働かせてもらっている。
僕はあまり厄介ごとには自ら関わらないようにしている。
だから、その「路地裏の落としもの」も、見て見ぬふりをして通り過ぎようとした。
見て見ぬふり…。
泥と血の滲んだ顔、金髪。
見覚えがあった。
校舎の最上階にある、生徒会室から、彼を何度か見かけたことがある。確か、僕よりも学年が一つ下だった。
うちの学園には、珍しいタイプだと思った。事あるごとに他人とぶつかってばかりいた。しょっちゅう、他校の不良グループとの争いの話を耳にした。
でも、彼がこの学園を退学にならないのは、孤児である彼に、大富豪が後見人として、付いているからだという。
…なんだ、ただの甘ったれだ。
僕は正直落胆した。彼がたった一人で、自分の信念だけで争いながら、何かに抗って生きているのであれば、もしかしたら、違った目で見られたかもしれないのに。
両親は揃ってピアニストだった。そんな影響からか、僕も少しだけピアノが弾けた。
両親の遺産も少しはあったけれど…、僕には将来、理Ⅲに進む予定があったため、学費を稼ぐためにピアノバーでピアノを弾いていた。
マスターは最初体よく「未成年お断り」と言っていたが、僕の将来のビジョンと突然の不幸に同情してくれた。
そんなわけで、未成年でも「大学生」という名目で働かせてもらっている。
僕はあまり厄介ごとには自ら関わらないようにしている。
だから、その「路地裏の落としもの」も、見て見ぬふりをして通り過ぎようとした。
見て見ぬふり…。
泥と血の滲んだ顔、金髪。
見覚えがあった。
校舎の最上階にある、生徒会室から、彼を何度か見かけたことがある。確か、僕よりも学年が一つ下だった。
うちの学園には、珍しいタイプだと思った。事あるごとに他人とぶつかってばかりいた。しょっちゅう、他校の不良グループとの争いの話を耳にした。
でも、彼がこの学園を退学にならないのは、孤児である彼に、大富豪が後見人として、付いているからだという。
…なんだ、ただの甘ったれだ。
僕は正直落胆した。彼がたった一人で、自分の信念だけで争いながら、何かに抗って生きているのであれば、もしかしたら、違った目で見られたかもしれないのに。