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碧と朝陽

第8章 関係の訂正

「は〜〜疲れた〜〜〜」
「こっちで休憩しようぜ!」
「賛成〜」

人がこちらに近づいてくる声が聞こえて、咄嗟に身なりを整える。
乱れた髪を整えて平常心を心掛けた。

「出ようか」

そう碧に言われ、なんとなく俺たちはまたあのカフェに向かっていた。

いつものコーヒーとカフェラテを注文して、席に着くと、ふぅっとため息をつく。
しばらくの沈黙。
コーヒーの匂いは焦る精神を落ち着かせてくれた。
さて何から話そう……俺が迷っていると、

「あのさ、パートナーのこと…」

先に沈黙を破ったのは碧だった。
恐る恐ると言った感じで聞いてくる。

「あぁ、パートナーになってもいい。」

俺はそれになるべくさっぱりと答えた。
碧の表情に安堵の色が浮かぶ。

そんな顔を見て、しっかりと訂正をする。

「だが、仮だ、仮!いいか?本当になるわけじゃない。」

「仮……?どういう??」

不思議そうな顔をして首を傾げる碧。

碧はいい奴だ。
相性も正直言うとすごくいい。認めたくないが。

俺はこの先Domとプレイをすることなんてもうないだろうと思っていた。
それなのに………。
あんなのを知ってしまったらもう元の身体には戻れないだろう……。
悔しいが、それは昨晩で薄々気づいていた。

だが、まだ全てを許せるわけじゃない。
本当のパートナーになるのにはまだ怖かった。
小心者の俺は保険をかけたのだ。
我ながら最低なやつ。

「友人として、お互いの欲求を収め合う、そういうパートナーになろう。」

「友人、、として、、」

碧は少し考え込んでいたが、

「わかったよ。それでいい。朝陽と一緒にいられるならなんでもいい。」

決心したようにそう口にした。
その目は真剣そのもので、俺は罪悪感でキュッと心臓が痛むのに気が付かないふりをしてカフェラテを喉に流し込んだ。

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