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ミニチュア・ガーデン

第6章 喪失した道

 足を離し、腰の下に手を入れて少し浮かせ、更に深い部分に打ち込もうとぐりぐりと押し付ける。傷跡だらけの細く、白い体が大きく弓なりに仰け反り、感じているのだと、喜んでいるのだと思わせ、相手の情欲を煽る。
 彼は一度も声を上げていない。はぁはぁ、と荒い息をしているだけだ。
 そこに、トロンと細められた目と、何かをすればそれだけ反応を返す体が加わると、声の刺激など不要だった。
 首だけでは飽き足らず、彼の鎖骨や薄い胸にも情事の証を付け、ふと、これを見つけたフェイクが何と言うのだろうか、と思う。
「……っ!」
 その瞬間にガルクの理性は戻り、驚いた様に跳ね起きて彼の中から性器を抜く。突然の事に彼は困惑した様で、体を開いたままガルクを見上げる。
 もう、取り返しがつかないのだと悟ったガルクの頭から血の気が引き、興奮が冷める。
 最後までしていない、など言い訳にならない。
 彼に挿入して喜んで擦り付け、挙句に幾つもキスマークを付けたのだ。どんな言葉も態度も無意味だ。彼と肉体関係を持ってしまったのだから。
 彼がガルクの両頬に触れ、ゆっくりと顔を近づけて唇を重ねる。拒絶する時間はたっぷりあったというのに、ガルクは何もせず、その口付けを受け入れる。

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