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コンビニエンス好きな女

第1章 コンビニエンス好きな女…

 ⑤

「え、こ、コンビニもっ?」

 えっ、コンビニも、オーナーだってぇ?…


「はい、そうです」
 この綺麗な女子社員さんは、極めて冷静に言ってくる。

「…………」

 コンビニも…って、あの店長がオーナー店長だと思っていたから、驚いてしまい…

 いや、このマンションのオーナー…

 不動産会社のオーナー…

 コンビニのオーナー…


 それだけでもかなりの仰天的な驚きでもあり…
 絶句してしまう。


「だから、特別オーナー割り引きってことになるのかなぁ…」
 と、綺麗なお姉さんオーナーは笑いながら言ってきた。

 確かにコンビニのアルバイトたがら…
 僕にとってもオーナーではある。


『あれ、お前知らないの?…
 あ、そうなんだ、ま、じゃあ、後で店長にでも訊けよ…』
 不意に、この前のフリーターの先輩の言葉が、脳裏に蘇ってきた。
 
 あ、先輩のあの思わせぶりな言葉はこの事だったのか…
 

「まぁ、キミ次第、テスト次第だけど…  
 ねぇ…」
 と、オーナーは微笑みながら女子社員さんの顔を見ながら、そう囁いてきたのだ。

「はい、そうですね」

 すると、この綺麗なお姉さんオーナーと、やはり綺麗なこの女子社員さんの二人の目が…
 なんとなく意味あり気な輝きに光った様に感じたのである。

「て、テストって…」

「うん、キミ、今夜はバイトなの?」

「あ、いや、今夜はお休みです…」
 そう、今日はここだけではなく…
 他の不動産会社も回ろうかなと思っていたから、バイトは休みであったのだ。

「あら、じゃあちょうどいいわね」
 するとオーナーはそう言って…

「じゃあさぁ、後はこの彩ちゃんから今夜のテストのお話しを聞いてね…」

「あ、は、はい」

「わたしはちょっとまだ仕事があるからさぁ…」
 そうオーナーは言いながら、奥へ行ってしまった。



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