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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。

第1章 夫婦円満本舗

茂木が真奈美ちゃんと呼んでいた女は、

仕事中と言う自覚があるのか、

この探偵事務所と言う雰囲気には

大凡似つかわしくない服装の女だった。


まっ黄色のパーカーに、

室内なのに、キャップを被っていて。

そのキャップの下からは

インカラーで紫の髪の毛がチラチラしている。


くちゃくちゃと音を立てて、ガムを噛みながら、

ワイヤレスイヤホンで何かを聞いている様で。

リズムに合わせて身体を揺すっていた。


その真奈美と言う名前の女性が、

さっきまで美弥が座っていた場所に

移動をして来て、俺の隣に

俺の許可を得る事もせずに腰を降ろして来て。


これだから、今の若い娘ってもんは…。

礼儀もなんも…なったもんじゃ…無いなと…。

俺は…内心、この真奈美と言う名の女に

苛立ちに似た感情を憶えてしまって居たのだが。


「あのぅ、良いんですかぁ~?
あんな事…言っちゃってぇ~、
ご主人は、後悔してないんですかぁ~?
ほらほらぁ~、早く…あっちに行って
仁さんの事ぉ、止めなくて良いんですかぁ?」

あの…茂木と言う男も…大概に大概、
気の抜けた喋り口調だったが。

この真奈美と言う名の女は…
それを倍にした位に…
間延びした喋り方をする女だった。

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