テキストサイズ

はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。

第1章 夫婦円満本舗

どうせこれも…全部…、
演技…なんじゃないかと…。

どこか…冷めた感じで
聡は、心の中で…思いながら…。

その…イヤホンから聞こえる…
美弥と…あの茂木と言う男との
やり取りを聞いていた。

現実なのに、現実味を…欠いていて。

ドラマを音声だけで聞いてる様な

…そんな感じがする。

自分の事なのに、どこか他人事の様な、
そんな複雑な感情が…起きては消えていく。


だが…、美弥の声を…聞いて居ると
どうにも、その声の緊張した感じ…は…、
演技じゃない様な。
そんな感じにも…聞こえて来る…し、
美弥の声が聞こえる度に、ソワソワとして
落ち着いて聞いて居られなくなって来る。


ガタガタと…ドアの奥から…音がして…。

何かが倒れる様な音がして来るのが。

自分の耳にも…

この、イヤホンからも聞こえて来て。


/『……嫌っ、触らない…でッ、
いや…ッ、ひっ、く、嫌…ぁ、
…ぅ…、さと、し…、聡…ッ』/


小さな…泣き声の様な…震える声に混じって、

美弥が…俺を呼ぶ声がした。


/『聡…ッ、んぅ…、やぁあっ、助け…てッ』/


美弥が…俺を呼んでいる、俺に助けを求めてる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ