はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第10章 『次の日の朝』
『一応…、雑居ビルだし
このビルにも…防犯カメラもあるけど。
真奈美ちゃんは若い女の子なんだから、
寝てる時間とかに侵入して来られたら、
刃物か何かご持参して来て、脅されたら。
後は…好き勝手…されちゃうだけでしょ?
ネカフェとか…じゃなくって、
ちゃんとしたホテルに避難するか。
後は…そうだな…、
仁さんの家に来るか…かな』
「仁さんの…お…家…ですか?」
『ここに居るよりは…安全だと思うけど?』
「どうせ…真奈美は…」
『処女じゃないし、
売りもさせられたから?
それは…全部昔の話でしょ?真奈美ちゃん。
今の真奈美ちゃんは、選べるんだよ?
僕の親父は、真奈美ちゃんに…
そうさせてあげたいって思ったから…、
あの人は、ああしたんだろうしね』
それ以上…話をするのが辛くなったのか、
ストーカーさんのお家を割り出しますと。
真奈美がパソコンの前に向かって、
もくもくと作業を始めてしまった。
その間に充電が完了した、必要な機材を
専用のバックに入れて今日の用意をして行く。
「仁さんが…何も言わずに…、
真奈美をここに置いてくれるのも。
…それで…ですか?」
仁さんからの返事はすぐに
即答では返って来なかった。