はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第17章 『仁さんの退院と前嶋からの依頼』
『そうなんですか、それは
旦那さんも…若くて綺麗な
奥さんを持つと落ち着いて居られませんよね?
僕だったら、奥さんが心配で
仕事にもおちおち行けませんよ。
あ、でも…。奥さんも、お若い時は…
さぞや、おモテになられたんでしょ?
今でも…お綺麗ですもんね』
そう言って仁がにっこりとほほ笑むと。
目の前の高齢の女性は…、
満更でもない様子をして嬉しそうに
その…伊藤家の…妻の美海の話を
あれやこれやと話してくれたのだが。
良かった、この人がここで
ゲートボールを毎日してるなら。
この人と話をしてれば
僕がここに長時間居ても…違和感はない。
後は…この公園に生えてる
あの適当な木でも、
はがきサイズの…スケッチブックにでも
描いているふりをしていれば。
僕が…この場所に長時間
居座り続けていても違和感は無いだろう。
話好きの…女性のお陰で、
ある程度の…情報は…集まった。
後は…聞き込みして聞いた情報の
裏をきっちりと画像で
証拠として残して納めて行けばいい。
「でもね…、あの…旦那さんにはね
もう…何年も…付き合ってた子が居たのよ。
その子は凄いいい感じの子でね。
今の奥さんにしてる若い子と違って、
私達にもいつも笑顔で挨拶してくれるし…。
週末になったら、通って泊ってたみたいだから」