はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第18章 『遊亀美月の決別と決断』
自分の背中越しに伝わる。
柔らかい…女性の身体の感触と。
若い女の子の…特有の…甘さのある香り。
そして…包み込まれる様な、
真奈美のぬくもり。
突然の行動に…驚きつつも、
心地いいと…思ってしまって居て。
「真奈美は…仁さんは…、もっと…
他所の夫婦の事ばっかりしてないで、
自分が…幸せになる事にも、
目を向けて欲しいって思いますけどね…?」
仁さんが…この…ご依頼以上の
仕事を…いつもしたがるのは…。
自分が…奥さんである、萌花さんに
出来なかった事への
してあげられなかった事への後悔と
罪滅ぼし…みたいな所があって…。
人の幸せの為に…何かをする事で
仁さん自身が…安定を…、
求めてるから…でもあるんだろうけど…。
『僕の幸せ……ねぇ…?
もう…これ以上…求めちゃったら
贅沢過ぎるって…思うんだけどね?僕は』
そう言いながら、後ろから
自分を抱きしめている真奈美の方へ
仁が身体を捻って向き直ると。
『僕は…これで…十分だけどね…?
これ以上…は…、罰が当たっちゃいそうだし』
そう…耳元でこっちに、
問いかける様にして尋ねて来て。
自分の心臓が騒がしくなってしまう。
でも…やっぱり…受け入れながら
否定してる言葉に…仁さんは狡いと思う。