はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第23章 『11月下旬、神戸北野にて』
「いえ…大丈夫です…、
ある意味……森園さんについては
彼女を派遣社員として、自分の
病院に入れてしまった事で。
うちの院長が…一番…、その
被害を…被った…ぐらいですので…」
と…、こっちが気を遣う
必要はないと言いたげに
新婦である西崎真希が言って来て。
「それに、僕と彼女は先月…
うちうちだけでの挙式は済ませてるので。
来月のレイン邸宅での式は、
1.5次会の様なスタイルで
同じ職場の同僚が集まる
お披露目会…的なものですので…。
会場をレンタルする費用も、
院長が出してくれると言う話ですし。
それに…僕と彼女も、
例の森園美海のせいで一時期は
婚約解消の危機になっておりまして…」
その言葉に付け加える様にして、
新郎である元田一が続けた。
話を聞けば…、2人が勤めている
病院の院長が…金銭的な面では
かなり協力的な感じで。
何らかの形での制裁を
森園美海に対して与えたいと…
いう思いが院長にもあるのは
元田の話から伺えた。
「すいません、コーヒーです。どうぞ…」
真奈美が2人にコーヒーを出して、
それぞれが真奈美に対して頭を
下げてお礼の言葉を述べると
出されたコーヒーに口を付けた。