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「探偵事務所…って訳でも…無いんだろう？」

『ええ、違いますよ？
…えっと…天野聡さんで良かったですよね？
本日は、ようこそ足をお運び頂いて。
いやぁ、今日は…良い日だなぁ。
天野さんの様な、素敵なご夫婦にお出会い出来て』

俺が…、ちょっと話しただけなのに
目の前のそのニコニコ顔の男は
俺の３倍にも５倍にも饒舌に話をして来る。

ニコニコとした笑顔と、穏やかなトーンの声で。
どうにも、気の抜けた印象の男だった。

『ここは、元…探偵事務所。
そして、僕は…元探偵…の…元ＡＶ男優。
そして、元性感マッサージのセラピストです』

どんな…経歴だよ…と、その男の
経歴を聞いて…聡は思ってしまったが。

俺が…一言…何か言えば…、この男は
５倍にも６倍にもして返して来そうだ…。

「……で、…この店は…何をする店なんだ？」

そう聡が不機嫌さを露わにしながら、
この店の主人らしき男に尋ねると。
こっちが機嫌を悪くしてるのに、
相変わらずその男はニコニコしたままで。

『あっれ？ああ、まだ…イって…いや、
言ってませんでしたね。すいません。
ここは、夫婦円満本舗ですよ、天野様。
どんな夫婦間の性のお悩みも…僕が
解決のお手伝いさせて頂く、それがこの
夫婦円満本舗です…、ああ、申し遅れました。
僕は、この夫婦円満本舗の…茂木仁と申します』