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パートタイムラブ

第1章 パートタイムラブ

 ③

 そして映画は前半の佳境に入り、主人公とヒロインのベッドシーンが始まろうという時だった…


 あっ…

 わたしのスカートから出ている脚の、ちょうど膝の横上の辺りに…

 隣の男の手が…

 つまり、毎朝買い物に来ているお客の男の手が…

 スッと触れてきたのだ…

 あ…

 わたしは触れられた瞬間…
 ビクンと小さく脚を震わせてしまう。

 え…

 たまたま手指が触れただけ…

 あ…

 だが、違った…

 え…

 違う…

 指がゆっくりと動き…

 脚を…

 撫でてきた…

 偶然に脚に触れてしまった訳ではなく、その指の動きには…
 意思があった。

 あぁぁ…

 その指の動きに感じてしまう…

 なぜなら…
 元々脚が感じやすく、いや、性感帯のひとつであったから。

 そしてなによりも、自分以外に脚を触れられたのが…
 久しぶりだったから。


 そう…

 わたし達夫婦は…
 約3か月、いや、半年近く、セックスレスであった。


 それには義母の存在という理由があった…


 同居したのは約2年前…


 夫が一人息子という事と…

 義父が亡くなり、義母が急に弱り、入退院を繰り返し…
 見るに堪えかね、仕方なかったのだ。


 そして約半年前…

 夫に抱かれていた時に、微妙な義母の気配を感じた…

 え…

 もしかして覗かれている?

 盗み聞きされている?


 そんな疑心暗鬼な思いからと…

 そして比較的淡白だったのと…

 不妊のせいもあり…

 いつしかセックスレスになってしまったのだ。


 だけど、決して夫が嫌いとかではない…

 普通に夫婦の会話はある…

 だが、わたし自身の義母への疑心暗鬼な想い以来…
 セックスレスになってしまった。


 だから…

 よけいに…

 隣の男の指の動きに過剰に反応してしまったのだろう…



 そう思っていた…




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