もう奴隷のように犯されるのはイヤ…
第3章 【家庭教師として派遣されただけなのに】
地図アプリを見ながら辿り着いた場所は思っていた通りの大豪邸。
お手伝いさんが招き入れてくださり、社名と名を名乗る。
丁度バッタリ家庭教師を依頼したであろう生徒の伸也くんに出くわした。
軽く挨拶を済ませて、部屋に案内されるのかと思いきや、旦那さまがお戻りになるまでは応接間で待つように言われた。
此処に来るまでに色々と調べてみたが、お得意さんというよりかは、うちが、こちらの会社の傘下グループであり、今から会う人は派遣を牛耳るトップのお方…というわけだ。
いくつもの会社を経営されていて、派遣である私なんて底辺の底辺だ。
とにかく気に入られなければならない。
言われた通り、粗相のないように。
「持たせたね」
颯爽と現れたのは一瞬たじろぐほどのイカツイ顔。
肌が真っ黒に焼けていて笑うと歯が真っ白。
オーダーメイドであろう特注のスーツに腕にはキラキラ光るロレックス。
慌てて頭を下げ、挨拶を済ませた。
「聞いてる聞いてる、キミ優秀なんやて?名目は家庭教師やけど、ちゃんと聞いてるよね?派遣された意味」
小杉からは何も聞いていない。
家庭教師でなければ、身の回りの世話などお手伝いさんが居るので不要だ。
勉強以外に何を求めてらっしゃるのだろう。
威圧的な空気に圧倒されて頭が真っ白になってしまう。
「アハハハ!あいつはしゃーない奴やな、まーた何も言わんとこっちに寄越したんかい、まぁええわ、報酬は書いてた通りやし文句ないやろ?」
「は、はい、あの……私は一体何を?」
「キミの職歴や勤務態度も聞いてるよ、転職は考えてないな?今よりええとこないやろ?キミには色々と色つけて雇ってるんや、今まで小杉にええ扱い受けてきたんと違うか?」
背筋が凍った気がした。
小杉は恐らく、二階堂実光に逐一報告し、筒抜けというわけだ。
社内でのあの淫らな関係も。
「ええ女おったら丁寧に扱って育てといてやって言うてるんや、意味わかるか?」
私と小杉の間に不貞行為があったのは事実だ。
セックスさせる事で派遣切れを免れてきたから。
セックスすれば割の良い仕事を紹介してくれた。
途切れることなく、他の派遣社員よりかは潤っていたと思う。
それも全て、二階堂の指示のもと……だったというわけか。