12歳年下の彼に溺愛される話
第1章 『私』と『彼』との馴れ初めの話
あれ…、そう言えば。
もしかしても、
もしかしなくても私、
毎週…生田さんと…
ジムの帰りに飲みに行ってない?
そんな事に気が付いたのは
8月の9日の話だった。
9日の帰り道に、生田が巴の
歩いている進行方向を遮る様にして
先回りして立つと。
『あの…、友坂さん、今度…の…、
土曜日とかって…時間ありますか?』
…と、男性1人では…行きにくい場所に
付き合って欲しいと言われて。
別に彼氏がいる訳でも無いので
予定なんてある訳もないので。
「土曜日は…空いてますが…」
『良かった。じゃあ、僕に
ちょっと付き合って貰いたいんですが…』
そう言われて、ある場所に
私に付いて来て欲しいとお願いされて。
自分は何に
付き合わさせるのかと思っていると。
『ここです、ここに行ってみたくて』
「ここ…って…」
あるビルの前で、生田がここですと
指を指している先は。
スイーツパラダイス…通称スイパラで。
確かに…オープン前の待機列に
並んでいるのは…
女性客かカップルなので。
男性の…それも、1人では…。
来にくい店…ではあるよなと
巴は…思いながら。
こっちがお願いしたのでと
生田さんに言われて。
スイパラの…お支払いは…
生田さんが出してくれて。
テーブルに案内されて、
私は知って居るけど
システムの説明を店員さんから受ける。
何故か視線を…感じてしまって。
その視線の先に目を向けると。
ちょっと離れたテーブルの所の、
20代の女性客3人組が
私と生田さんの方をチラチラと
さっきから見ている事に気付いた。
『あ~、やだやだ…、
不倫デートでスイパラとか』
『不倫じゃなくって、
もしかして、レンタル彼氏かもよ?』
『受けるッ、でもさ…あれかもよ?
レンタル彼氏じゃなくってさ、
主張ホストの方かもよ?』
『アラサー女…必死過ぎ…ッ』
そう…その、3人が…
こっちのテーブルを見ながら
それぞれに遠慮なく
思い思いの事を口にしていて。