テキストサイズ

ビッケとビッチ

第9章 2024年1月1日16時10分

 1

 2024年1月1日午後4時10分…

 わたし達は、けたたましい
 『緊急地震警報』の音で目が覚めた。

 朝方までビッケに激しく抱かれ、ぐっすりとその時間まで眠っていたのだ…

「え、あ、な、なにっ?」

 慌てて飛び起きた…

 だが、わたしの住む関東地方は震動3程度の地震であったのだ。


「うわぁ、びっくりしたぁ…」

 そしてまた再び、うつらうつらとベッドで微睡み…

 そして午後5時過ぎに…

「お腹空いたわね…
 おせちあるから…」
 と、通販で取り寄せた某有名料亭の高級おせちを冷蔵庫から用意をし…
 二人で起きで食べ始める。


「あの『地震警報』の音って嫌な感じよねぇ」

「確かに、なんか心がゾワゾワってしますよね」
 実はわたしは、先の東日本大地震で、当時の彼氏を津波で亡くして以来、余計に地震警報には敏感になっていた。

 そして何気なくテレビを点ける…

「あっ、えっ、ええっ?」

 そのテレビに映っている場面は…

『これは石川県輪島市の朝市が行われる地域の火災の様子です…』
 と、ヘリコプターからの上空からの火災の映像を写しながら、アナウンサーが語っていた。

「えっ、あ、朝市って……」

 わたしはそのテレビ映像を゙見て絶句してしまう…

「………………」

「え、ゆ、ゆりさん、どうかしたんですか?」
 ビッケが慌てて問うてくる。


「え…、あ、あ、う、うん…」 

 その朝市の場所の近辺には、知人が…

 いや、大学時代からの親友が…
『輪島塗り』の職人になって、最近、ようやく独立した親友が住んでいるのだ。

 そして、その火災の場所の有名な『朝市』エリアには…
 何度か訪れた場所でもあったのである。

「あ……そ、そんな……」

 ザワザワと激しく心か揺らぎ…

 ドキドキと鼓動が高ぶり…

 冷や汗が湧き…

 あの『東日本大地震』での悲痛な想いと心痛が…

 心に甦ってきていた。

 ま、まさか…

 わたしは慌ててスマホを手に取り…

 親友の番号を押す…

『ツー………』

 だが、繋がらない…



ストーリーメニュー

TOPTOPへ