12歳年下の彼とクリスマスする話
第10章 彼と私のクリスマス
『折角ですし、ここで
ゆっくり…座って眺めましょうか』
木製の椅子に座って、
2人で肩を寄せ合って、
最後の審判を見上げる。
『凄いですね…、垂水から
1時間ちょっとで…、
海外旅行気分が味わえますね』
近場で旅行気分とは良く言うが、
正しく近場で旅行気分だ。
ましてや、システィーナ礼拝堂は
イタリアにあるんだから、
日本の裏側……一番遠く…に
旅行した気分に1時間ちょっとで
なれるんだったら…遠くに来た”気分”には
十分過ぎる程になれてしまっていて。
あの、大きなクリスマスツリーも
ここにあると凄いマッチしてる。
『あ、入口の一番最初の
展示物でゆっくりし過ぎてましたね』
すっかり海外旅行気分で
2人で過ごして浸り過ぎていて。
入口で時間を食っていた事に気付いて。
順路通りに次に移動して、
エルグレコの祭壇衝立の部屋に
彼と手を繋いで移動する。
次の場所は、聖マルタン聖堂。
淡い色彩で描かれた
ロマネスク様式の壁画の間で。
ここにもクリスマス仕様に
飾り付けがされていた。
その隣には青が印象的な
聖二コラオス・オルファノス聖堂。
綺麗な壁画を再現してるのではなくて
朽ちて剥げた部分も再現されていて。
時代の流れ…の様な物を感じられる。
その次には今までの大聖堂
シリーズではなくて
大きな広間の様な空間になって。
秘儀の間と言う朱がさえる
壁画のある部屋についた。
この部屋は、ポンペイの豪邸の
部屋を再現してあるのだそうだ。
その先は鳥占い師の墓、
さらにその先は、
天窓から自然光が降り注ぐ空間に
貝殻のヴィーナスが展示されている。
この先にも大聖堂が
復元された部屋が続いて居て。
スクロベーニ礼拝堂へと続く。
宝石箱の中に閉じ込められたような
そんな錯覚を感じる程、
鮮やかな青と繊細なタッチの
壁画を楽しむことが出来る。
ここにもツリーが置かれていて。
クリスマスムードも…満点だった。
この礼拝堂にも
両サイドに長い木製の
ベンチが設置されているから
ゆったりと座って復元された
ジョットの壁画を楽しむことが出来る。
鮮やかなブルーの天井には
金色の星が描かれていて。