テキストサイズ

12歳年下の彼とクリスマスする話

第10章 彼と私のクリスマス


ガトーショコラの土台の上に
チョコレートで出来た
大きなサイズのバラの花の様な
チョコの花がド――ンと乗ってる。

多段のフリルの様になった
花びらが繊細なチョコレートで
表現されていて。食べるのに
崩してしまうのが勿体ない位だ。

……とは言え…、
テーブルの上に用意されていたのは。
ケーキを乗せるのに丁度いいサイズの
白いお皿が2枚と、ケーキを
食べるのに丁度いいサイズのフォークで。

これを切り分けたりするのに使える、
ケーキナイフ…みたいな物はないから。

この…デザートフォークでは…
切り分ける……のは…
至難の業な様な…気がする…。

「凄い…綺麗…な
お花のチョコケーキ」

『ええ、このホテルの中に
パティスリーがあるので。
お願いして…2人用のサイズのを
用意して貰ったんですけど。
普通のいちごの生クリームと
どっちがいいか悩んだんですけどね』

食べましょうかと…彼が言って、
じっと…こっちに視線を
向けられているのを感じる。

「でも…ケーキ…切るための
道具が…何も無いよ?」

『僕…憧れだったんですよねぇ~。
ひとりでホールケーキを
切らずにそのまま食べるの…。
あ、そうだ…。折角今日は
クリスマスイブイブなんですし。
巴サンタさんに…クリスマスケーキ
食べさせて貰ったりとか…
しちゃたりとか…したいなぁ~って』

ソファの上に座って居る
港斗君の膝の上に横向きになって
巴が座ると、4号のホールケーキを
お願いしますとパスされてしまって。

綺麗なチョコレートのお花を
崩すのが勿体ないなと思いつつも
丸々のホールケーキに直接
フォークを突き刺すなんて経験は
私の36年の人生の中でも
初めての経験…だな…と
巴は内心思いながら。

1口分のケーキをフォークで切り取ると。

「はい、港斗君、お口あーんして?」

『あ――ん』

あ――んと口を開けて待っている
彼の口の中にチョコ―とケーキを入れる。

もぐもぐと彼が口の中の
ケーキを咀嚼して嚥下するのを
巴がそのまま見守っていて。

「ケーキ、美味しい?」

『ええ。美味しいですよ。
チョコレートが濃厚で甘くて』


ストーリーメニュー

TOPTOPへ