シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない
第2章 25バンチの訓練コロニー
「ダニエル・ワトキンスは此処の25バンチコロニーの近く、ロンデニオン・コロニーの住民よ
ロンデニオンはサイド1のコロニー群の中でもかなり初期型コロニーよね
当時は地球の英国首都ロンドンを模したノスタルジックなコロニーよ
アンティークな調度品に囲まれた街よね
ダニエル・ワトキンスの奥さん
亡くなられたスーザン・ワトキンスの父親
ロブ・キントナーはかなりの骨董マニアだったようね、本人はもう他界してるけど
ロンデニオンには古い美術品を集める骨董家が多いのよね
ロブ・キントナーの葬儀のとき、遺品のいくつかの調度品をスーザン・ワトキンスが持ち帰ってるわ
夫のダニエル・ワトキンスはあまり快く思ってなかったみたいだけど
その調度品、地球の遺跡から発掘されたアンティーク像が家に来てから、娘のケイト・ワトキンスの顔のアザが発現したらしいの
少なくとも父親のダニエルはそう思っているみたいね」
「骨董品の呪いだと?」
「奥さんの父親の遺品の事なので、奥さんにも言わなかったみたい
ダニエル本人の深層意識の中では拒否感があったように思えるわ
本人も気付かないまま、ね」
ザックは驚いた
ヒプノダイバーとはそのような事まで知ることが出来るのか
機械的に行う催眠術みたいなものなのだろうか
「それで? 骨董の像が知らぬ間のストレスとなっていて、サメの幻覚でも見たっていうのか?」
ザックは少しおどけてみせた
「その像の姿、頭がサメの形をしていたらしいのよ」
「ええッ??」
ザックは呆れた
「それを軍はどう思っているんだ?
シャトル事故の生存者の発言が、過去の嫌な気持ちのせいでサメだと言ってる、と解釈したのか?
まぁ、当たり前だけど宇宙空間にサメは居て無いけどな!」
「どうかしらね?サメのペイントをした航空機やミサイルが有ったぐらいだから…
何かしらの敵の機体の攻撃を受けたのを
サメだと思いこんでいるのかもね」
“大人がペイントを見て、ホンモノのサメだと思い込むかね?”
ザックは腑に落ちないまま朝食を終え、ふたりと別れた