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不倫白書 Ⅰ

第1章 初めての不倫…

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 そして、彼とのこの映画の話しは楽しかった…

 彼の話術も巧みであったし、映画の話しが本当にしたかったから…
 そんな『ナンパ』という思いさえ全く浮かばなかったのである。

 それに彼は若いながらも意外に落ち着きのある優しい声音と丁寧な言葉遣いで、わたしに警戒心を持たせなかったから…

 そして映画の話題が、趣味、傾向がわたしと共通の部分が沢山あったから、更に油断したのだと思う。


 そう、油断である…
 

「もう少し、いや、もっと話しがしたいなぁ」


 わたしもしたい…


「じゃあ、夕メシでも…」

 そんな彼の言葉にわたしは思わず…

「うん、美味しいイタリアンレストランを知っているの」
 と、つい、そう言ってしまったのだ。

「えっ、あ、イタリアン、いいですねぇ…
 行きましょうよ」

 彼は直ぐにそう答え…

 立ち上がり…

 わたしの手を握り、引いてくる。



「あ…」

 わたしはそんな彼の手に…

 手の感触に…

 いや、手の熱さに…

 一気に、ドキドキと…

 心を昂ぶらせてしまったのであった。


 なぜなら…

 さっき観た映画にもこんな…

 若い男が、歳上の女性を強引に誘うシーンがあったから…





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