テキストサイズ

Lovers Game 〜光と影〜

第10章 らしくない事するから

〃『ハァッハァッハァッ・・・ハァッハァッハァッ』〃



『・・・・?』



ふざけてんの母ちゃん?
マラソンでもしてんの?
ってくらい


長距離走終えた後みたいな電話の向こうの母親



〃『蓮……落ち着いて…ハァッハァッハァッ…聞いて』〃




マラソンしてるワケじゃないのは、わかった




そして、そんな言い方する事って

大抵…落ち着いて聞けないこと














〃『お父さん・・・・・・死んじゃった』〃










『・・・・は?』






なに言ってんの?


本気で日本語がわからなくなった一瞬を記憶してる







〃『お父さん…〃ひとりで〃…逝っちゃった…』〃







『・・・・』


その時の俺にとって

事件より…大災害より…天変地異より

俺の人生で、程遠く

この世で一番、、身近に感じられない

〃予想し得ないこと〃だった




過呼吸してた母親が
なんとか伝えてきたその事を



嘘でも悪ふざけでもない事を…頭はわかっていて




どっぷり眠ろうと思ってたその日の俺は

有無も言わされず、重い気持ちと体を起こして

深夜までかかって飛行機に乗って実家に向かった



嘘であってほしい、とか
何かの間違えだ、とか

そんな気持ちが…逆に全くなかった

ちゃんと…現実だ。



だからって



なにが…起こっているんだ?

どうして、そんなことになるんだ?

なにが…あったんだ?



思い付く答えが
決まった答えが、なんかしらあったほうが
いくらか救いがあっただろうな


これは現実か?…いや、現実だ

残酷に、それだけは体がちゃんとわかってる



実感がまだわかない、なんて言葉良く聞くけどさ


実感は…あった

事実は…受けとめていた



だけど、遠い世界の
知らない誰かの身に起こった事のように感じる



あまりに突発的に
あまりに酷な現実を突きつけられると
人間は何も抗う気持ちがなくなるのかもな


或は、それは
人間がぶっ壊れる音なのかもしれない



そんな経験したことの無い
感情がないかのような感情だった


そんな、、、遠いどこかの、俺の記憶

ストーリーメニュー

TOPTOPへ