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バニーガールホール
第1章 長い夜の始まり……
アルコールがいい感じに回っていたし、
店には他の客が居なかったから。
俺はそのマイクを受け取って
リストの中から自分が知ってる
歌える曲をリクエストした。
俺の歌に合わせて
ニコニコと笑いながら
手拍子をしてくれて……。
俺は……こっちのけんとの
はいよろこんでを…披露して。
凄いです、あの歌凄い
リズムが難しい歌なのにとかって
言われて…酒の所為もあって
褒められて調子に乗ってしまって、
つい…そのまま…2曲、3曲と
歌ってしまって……嫌な事を
すっかりと…忘れる時間を
この店で過ごしてしまっていて。
お会計を済ませて…、店を出る時に
カウンターから彼女が出て来て
俺を店のドアの外まで
見送りに出て来てくれて。
『ありがとうございました…』
「…ごちそうさま…でした…」
見送りに出て来てくれた彼女に
小さく頭を下げて、
背中を向けて駅へと向かった。
ーーー
ーー
長い夜の始まり…… END
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